「薬なしでは生きられない」軍クーデター後に乱用者が増加か

シャン州で撮影された映像には、若者の集団が物陰に隠れながら薬物を摂取する様子が見られました。こうした光景は日常化しているようです。シャン州に住んでいるという、ヘロイン常習者の20代男性に話を聞きました。

麻薬常習者の男性
「ドラッグがないと外出もできないし食事もろくに取れない。薬なしでは生きられない。ここには何千人もの麻薬常習者がいる。数えきれないよ」

ミャンマーの最大都市ヤンゴンにある薬物依存症の回復施設では、薬物を乱用した若者たちがリハビリなどに取り組んでいます。創設者によると、“ある時期”を境に入所する若者が急増したといいます。
薬物依存症の回復施設 創設者
「2021年から薬物を取り巻く状況は大きく変わりました。この施設に来る薬物依存症の患者はかなり増えていて、2024年2月だけでも40人を受け入れました」

2021年にミャンマー軍が起こしたクーデター。民主化によって成長軌道に乗るはずだった国内経済は大混乱に陥り、物価の高騰や通貨の下落などで崩壊状態になりました。
UNODC=国連薬物犯罪事務所はクーデター以降、シャン州などでは少しでも収入を得ようと麻薬の生産者が急増していると分析しています。
また、これに拍車をかけているのが、軍と少数民族による戦闘の激化です。JNNは麻薬密売組織とつながりがあるという男性に話を聞くことができました。

麻薬密売組織と繋がりのある男性
「一部の少数民族は麻薬を戦闘用の武器と交換することもあれば、密売で得た資金を武器の購入にあてることもあります。(麻薬)製造機械の多くは中国から来たもので、村長などが生産を管理し、その上には元締めがいます」

少数民族武装組織などは、麻薬の原料や製造機械を中国やインド、パキスタンといった周辺国から収集し、ヘロインや覚醒剤の他、様々な合成麻薬を生産しています。