各国が抱える課題も垣間見えるなか、この万博にひときわ強い思いを持って参加する国がオランダです。今年3月5日、盛大なレセプションを開いて工事のスタートを祝いました。パビリオンのテーマは『コモングラウンド(共創の礎)』。温暖化や食糧問題など地球規模の課題に対し、様々な国や文化に共通する”何か”をみんなで見つけようという思いが込められていて、水から水素を取り出して再生可能なエネルギーを作り出す技術を紹介する予定だといいます。在大阪オランダ王国総領事館のマーク・カウパース総領事は次のように話します。

 (マーク・カウパース総領事)「私たちは年々、地球の資源を使い果たす『アース・オーバー・シュート・デー』が早まっていると気づいています。だからこそ私たちは使うもの全てに対して、異なるアプローチをとる必要があります。そう考えると人生設計や未来社会も変えていくべきなのです」

 オランダの考える”異なるアプローチ”とは「循環型経済」。同じ資源を繰り返し使うことを意味しています。最近よく耳にする「サステナブル」は、資源を効率よく使うことであり、別物と捉えるのです。パビリオンの設計を担当したオランダの建築家トーマス・ラウさんは、パビリオンでは「循環型経済」を踏まえた“ある取り組み”をすると話します。
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 (オランダパビリオンを設計 トーマス・ラウさん)「私たちは建物内にどんな資材があるかを正確に把握して登録します。『マテリアル・パスポート』と呼んでいます。皆さんがパスポートを持っているように」

 資材や材料の性質や使い道を全てシステム上で管理することで、万博が終わった後にパビリオンを解体しても、全ての資材が再利用できるといいます。

 (トーマス・ラウさん)「願わくば日本がこのプラットフォームを取り入れて、将来的に日本に今どんな資材があるのかを正確に把握できるようになってほしい」