「警察内部では適切に報告されている」

2023年12月12日。同様の疑問は、裁判期間中に実施された県議会による文教警察委員会でも取り立たされた。質問に立ったのは、菅森実議員だ。

「今回の新居浜市内で殺人事件が起きてですね、当初の報道では3人亡くなったということで。その後の裁判の中で、先日、地元マスコミでも報道されましたけれども、警官が到着してからあと1人が亡くなったということが明らかにされた」
「尊い命が亡くなるということは防いでいきたいところでありますが…。やむを得ない状況だったことは理解していますが、県警の中で、その事実が明らかになった時点で報告、報道などが必要だったのではないかと思いますが、その辺りどうなのでしょうか」

しばしの沈黙。出席した県警幹部が、しきりに目配せしている。手元のファイルをめくりながら、何かを話し合っている様子が見て取れた。

「委員長」
手を上げたのは、愛媛県警察本部の白田英樹刑事部長(当時)だ。

「えーと、この案件について現在、公判中でありますので、詳細は差し控えたいと考えておりますが。(現場に)臨場した警察官自体は、可能な限り職務を行ったと、当初から考えております」

話は、ややかみ合っていない印象を受けた。菅議員が食い下がる。

「それについては私も承知をしております。ただ、事実が分かった時点での報告が必要だったのではないかと思います。重ねてになりますが」

再び答弁に立つ白田刑事部長。
「警察内部では、適切に報告がなされております」

菅議員の質問が続く。

菅議員
「これは、報道などはなされていたのでしょうか?」
白田刑事部長
「当時は、捜査に与える影響を考えつつ、可能な範囲での説明を行っていた」
菅議員
「それは、捜査に影響のない、どの辺りまでの報告がなされていたのでしょうか?」
白田刑事部長
「事件の詳細については、内部的に、すべて報告がなされています」