幹事長の素顔

平成研は4月にも、次の全体会合を開く予定だが、そこで「政治団体の登録を取り下げて一度、平成研を解散すべき」と主張する仲間を、納得させる結論を出せるのか、茂木氏は一つの正念場を迎える。

また最近、“土台の拡張”を意識してか、茂木氏は平成研に限らず、これまで関わりのなかった中堅・若手議員とも飲みに行く機会を増やしている。幹事長という自民党を取り仕切る立場がゆえ、強権的なイメージが先行し、「素顔が知られていない」との課題を自覚するためだ。飲み仲間は、永田町界隈だけに留まらず、20代の若手経営者らとも積極的に懇談を行い、こうした機会が自身の政権構想を考える際の発想力に繋がっている(茂木氏側近)という。実際、いま議論されているライドシェアなどシェアリングエコノミーの導入はすべきとの立場で、選択的夫婦別姓などリベラルな政策にも理解が深い。

「目指すポストは1つしかない」

茂木氏は自身を支える議員らに「今後政治家として目指すポストはもう1つしかない。そこに勝負するか、もしくは政治家を辞めるか、二択なんだ」と語るなど、次の総裁選を射程に準備していることを隠さない。

ただ、派閥の裏金事件が表面化して以降、「今、党内の争いをしている場合ではない。まずは自民党を立て直さないと、9月の総裁選を見据えても仕方ない」と静観の様相も見せる。
「50年後の日本が良くなる議論をしたい」。自身が総裁になって実行したい政策がある茂木氏が、総裁選に出る決断をするのは、自身の軍備と自民党の足元が固まったタイミングなのかもしれないが、幹事長という立場と向き合いながら、「負けない戦い」へ備える時間は、あまり残されていない。

TBS報道局政治部 与党担当 長田ゆり