デザインってかっこよく、美しく、バランスよくって思って、もうそれに押しつぶされていた

山口:
俺はさ、クリエイティブってのは福島とどのぐらい繋がってるかわかんないけど、自分の生活と離れたところにあると思ってたんですよ。全てのものが。自分が生きてて、寝て起きてという自分の暮らしの範囲と、そういう世界は別モノだと思って。
もっと言うと、自分から湧き出るものはありますよ、「ワーッ」とかってなる。この「ワーッ」は、何だかわかんないけど、そういう世界とは無縁の「ワーッ」。いつまで経っても自分達はそれで良いと思ってたんだけど、箭内さんを見た時に、あれ?この「ワーッ」って思っているのを、福島に繋げてる人がいると。
箭内:
そこ大事。
山口:
そこで…うまく言えてないかな(笑)
箭内:
うまく言えてる。学生にも、俺やっぱそこがテーマだと思ってて。別モノだって思ってるのを、別モノじゃないんだよという体験をさせることが「教える」ことだと思ってやってるんですよ。だから“接続”なんだよね。本当に。
山口:
だから、これが繋がるっていうことが分かってないわけですよね。ギターを持って「何かこれをやっても、あんまり人に受けないだろうな」と思いながらやる。自分の“業”じゃないけど、どうしようもないもの。だけど、箭内さんはそれが繋がるんだよって言うんだよね。それは繋げて良いんだよって。それがクリエイティブになりうるんだよということを。
箭内:
繋げることができなくてずっと10年ぐらいモヤモヤしてたからこそ、これ繋げればいいんだって、ある日気がついた。
山口:
箭内さんも繋げられないと思っていた?
箭内:
もう別モノだと思っていた。デザインってかっこよく、美しく、バランスよくって思って、もうそれに押しつぶされていたわけ、自分が。そうじゃなくてもいいんだと。本当にその時に、自分がどう感じたか、怖がらずに作ればいい。