福島の人が「生きてるんだぞ」っていうのを見せたかった

箭内:
いや、でもこの時のサンボマスター、ものすごくいいよ。いまだにYouTubeでみんな見まくってるでしょうこの映像。皆、いっぱいいっぱいなのよ。集まってる福島の人たちも。
山口:
でも集まってくれたんだよね。
箭内:
やっぱりクリエイティブというかエンターテイメントって、絶対必要なもんだと思ってて。震災の直後は、音楽って無力みたいな言われ方もしたけど。こうやってさ、笑顔になったり、涙を流したり、腕振ったり、大きい声で歌ったりってしないと。人間、全員じゃないんだけど、生きていけない人ってたくさんいるんだよ。音楽、エンターテインメントはそれが許される。合法的に許される場所なんだよね。
山口:
この時に俺たちは…やりたかった。ロックを。場所を作ってもらえたというのはありがたかったね。福島の全部をまわるんですよ。だから同じ場所じゃダメだったんだよね。福島の一番最初は、本当に会津の奥の方。だって会津若松市から1時間半ぐらい行くかな?
箭内:
奥会津。
山口:
でも、すごい人が来てくれたんだよね。全部で6か所やって。何かな…クリエイティブってやっぱ力ありますね。やっぱりね。
箭内:
ありますよ。この頃、世界の人で「福島にもう人が住んでないんじゃないか」って思ってる人もいたから。これはもう台湾とか中国の人たちもたくさん見てたわけ。YouTubeで、リアルタイムで。人がこうやって「生きてるんだぞ」っていうのを見せたかったんだよ。だからもうサンボマスターよりたくさん映っているわけ。お客さんが。