「新幹線を通すのも大切。けど、水も通して欲しい」
故郷のため、珠洲の皆さんのためを優先して避難所の運営に携わってきた市町さんだからこそ、二次避難で金沢にいることに、葛藤を抱え続けているようでした。
この日は、北陸新幹線が延伸開業した翌日。「新幹線が延びるのは非常に嬉しい。けど、新幹線とともに珠洲まで水道を通して欲しい」切実な想いを吐露してらっしゃいました。そして、ここから先、珠洲に戻れるか、新しい場所を探すべきなのか。思い悩む市町さんの胸には珠洲市の観光のシンボル見附島のピンバッジが光っていました。


避難所生活という環境の変化もあり体重が6㎏も減ったという市町さん。そんな大変な状況の中でも、大きな愛情で迎えてくださったことがただただ、ありがたかったです。
市町さんにお会いすると、いつも沢山の元気をいただきます。柔和で大きなお人柄で包み込んで下さり、今回もその笑顔に癒されるばかりです。
私の父親と同世代の市町さん。市町さんの息子さんと同世代の私。このご縁、一生涯、大切にさせてください。
また会いに行きます。
現在珠洲市では、避難所のリーダー・多田さんが残り、陣頭指揮をとっています。仮設住宅の建設も進んでいますが、断水状況は変わらないそうです。上水道の復旧時期は見えてきましたが、下水道の復旧はまだ見えません。
災害に強い街づくりと先々の展望を描く必要があると訴えていらっしゃいます。それと共に、全国からの支援が本当にありがたいと。
奥能登では、特に、若い世代の人口流出が深刻です。文化伝統もどう紡いでいくか。観光産業に支えられる部分も大きい北陸。発災から時間が経つほど、金沢や奥能登など地域によっての復興状況の差が大きくなっていきます。心の傷も変わっていくものです。
TBSテレビ「Nスタ」キャスター 井上貴博
(Nスタ 3月25日放送内容より抜粋)