取材中「静かにして」と注意される一幕も

1年あまり続けた取材の中で、怜音さんの故郷・鹿児島を訪れたことがあります。怜音さんの友人や家族にインタビューするためです。

すっかり暗くなった地元の公園ではクリスマスのイルミネーションを大掛かりに飾り付けたイベントが行われていました。その公園内で怜音さんが同級生2人と座り込んで談笑していると、イベントの警備にあたっていた男性が近づいてきました。

(警備員)
「“声がうるさい”と苦情が入っていますので静かにしてもらえませんか?」
どうやら、怜音さんの「大きな声」が気になった人がいたようです。怜音さん自ら警備員の男性に事情を説明します。

(怜音さん)
『僕は声が出ちゃう病気なんです…わざとじゃないんです』

警備員の男性も病気だったとは全く思っていなかったようで、申し訳なさそうな表情をしていました。警備員の男性に「大きな声」を指摘した人も、トゥレット症のことを知っていたら、その場を受け流したり、違った対応ができたのかもしれません。

でも知らなかったら驚いたり、怖がってしまうのが当然。トゥレット症がまだまだ知られていない病であることを改めて実感した瞬間でした。