2011年のカレンダー、目の当たりにした“現実”

(福島県双葉町から松山市に避難 澤上幸子さん)
「どんどんひどくなっていく。夜、動物たちが入って荒らしてっていうのを繰り返している感じ」

天井などに空いた穴から動物たちが侵入したのか、あちこちにフンが散乱しています。

靴を履いたままでなければ部屋に入れません。さらに、人なのか、それとも動物なのか、窓には割られた跡もあります。人が生活しないため、床は傷み今にも抜けてしまいそうです。

震災翌日、最低限の荷物を手に避難した澤上さん一家。荒れ果てていく我が家が時間の経過を物語ります。

壁に懸けた2011年のカレンダー、地震の揺れで散らかった部屋。すべてが当時のままです。

子どもたちが遊んでいたおもちゃや衣服、それに家具…。荒れ果てた部屋の中で、そこに生活があったことを告げています。生徒たちが、初めて触れ、目の当たりにした現実です。

(松山学院高の生徒)
「コロナは3年でおさまったのに、東日本大震災は12年経ってもなにも変わっていない。悲しいですよね」
「なかなか帰れない状況の中で、いま自分が普通に家に帰れて家族と過ごし、ご飯を食べられる事実に感謝しようと思った」

(福島県双葉町から松山市に避難・澤上幸子さん)
「こういう線量高い所に子どもたちを連れてくるのは悩ましい所ですけれど…。ただ得るものの方が大きいと思うので、保護者に説明会もして承諾の上で来た。復興の影には、こういう変わっていないものもあるというのを実感してもらえれば」