ふだんの散歩で使い慣れた道が寸断され、回り道を余儀なくされることに。

避難所では近所の人たちが灰谷さんを気遣い、食事やトイレをサポートしてくれたといいます。
「水道が使えないからトイレも普通に流すというわけにいかなくて、バケツとかペットボトルの水を上から流すんだけど、僕自身は失敗したらかえって人に迷惑かけるからと思って、最初から(周囲に)『すみません、流してください』と言うと、皆さんが気軽に『分かりましたよ』と言ってくれたので、本当にありがたかった。犬を連れているので、毛のこととかにおいのこととか、不快感を与えないように手入れをちゃんとしなければなとか気にしていた」
現在は小松市内に2次避難している灰谷さん。慣れない場所での移動は危険が伴うため、週に1度、外出のサポートをする「同行援護」のヘルパーに来てもらっていますが、できるだけ自力で出かけられるようにと、同じ道を何度も歩いて覚えるようにしています。
「(初めての道は)怖い。迷子になるのが一番怖い」

小松市での生活に慣れる努力をする一方、願うのは1日も早くふるさと能登町に戻ることです。
「散歩していても、僕は見えないけど、向こうから声かけてくださったり、知っている人ばかりだし、ここはあそこの凸凹だとか、あっち側から波の音が聞こえるとか、迷っても知ったところが出てきて、ここなら家まで帰れるという安心感もあるし、やっぱりそういう住み慣れたところがいいのはいいですよね」