大多数が「長期滞在を」一方で帰国せざるを得ない人も
「日本に長期滞在したい」と考えるウクライナ人はこの1年で大きく増えている。
避難民への支援を続けてきた日本財団が去年末に1000人余りを対象に実施したアンケートによると「できるだけ長く日本に滞在したい」と回答した人は39%で、22年末の調査に比べると15ポイント近く増えた。また「ウクライナの状況が落ち着くまではしばらく日本に滞在したい」との回答も34%にのぼっていて、大半の人が当面帰国は難しいと考えていることが伺える。

2月21日に日本財団とともに会見した避難民のボヤルチュック・ジュリアさん(30)。
一緒に避難した夫の出身地がロシアに一方的に併合された東部の地域に含まれていることから帰国は諦めている。日本への定住を希望しており「ウクライナと日本の架け橋になりたい」と流暢な日本語で話した。
一方、帰国せざるを得ない事情を抱える人もいる。
同席したホデンコ・オレクサンドラさん(22)は22年9月に来日したが、去年キーウにいる母親が病のため入院した。戦争が続いていることや、仕事が見つかるかなど「不安もある」としながらも「帰国するしかないと考えた」。
日本財団はこうした帰国希望者が少なくとも50人程度はいるとみており、今後、希望者を対象に航空券と一時金30万円を支援する新たな取り組みを始める。

軍事侵攻が始まって以降、日本に逃れたウクライナ避難民は2000人を超える。その誰もが友人や家族と離れ、日本に逃れることを決断した。それぞれ固有の状況があり、どんな痛みを感じているかも人によって異なる。
アンケート結果からは、今後日本で定住を目指す避難民が直面するであろう課題も見えてくる。
日本語については、およそ3割の避難民が「ほとんど話ができない、聞き取れない」と答え、依然多くの人にとって言語習得が大きなハードルとなっていることが伺える。就労の状況では半数を超える人が働いていないと回答、働いている人でもフルタイムでの仕事に就いている人は4人に1人に留まっている。