李相哲氏「北朝鮮にとっては政治的にも経済的にもウクライナ戦争はチャンス」

―――その北朝鮮の金正恩氏は今、「戦争が続けばいいな」と考えてるんじゃないかということですか?

(李相哲氏)「今世界で、ウクライナ戦争で一番利益を得ているのは北朝鮮なんです。武器を供与するだけではなくて、これから続けば、武器の委託生産すらありうるんですよね。それから、北朝鮮から出稼ぎ労働者を今、ロシアに送るつもりなんですけれども、様々な意味で経済的にプラスになります。戦争が続けば、ロシアはやっぱり北朝鮮に気を使って、北朝鮮とかっちりと組んでアメリカを牽制したりとかするので、政治的にも経済的にもウクライナ戦争は北朝鮮にとってはチャンスなんですよね」

―――プーチン氏が金正恩氏にロシアの高級車をプレゼントしたという話もありますね?

(中村逸郎氏)「ただねこれ、蜜月関係をアピールしているようですが、そこはロシアの怖さ、プーチンの怖さ。車をプレゼントしますが、それだけじゃなくて、その車の中に盗聴器とか位置情報とか。信頼したふりをして…。プーチンはこれまでいっぱい裏切り者を暗殺したんじゃないかと言われてるので」

(李相哲氏)「金正恩氏は車マニアで、100台以上持っていると言われている。ですから毎日乗ることはまずないと思いますけれども、彼はまだちょっと子どもっぽいところがあるので、そのような今まで触ったことのない車が来たらうれしいんでしょうね。彼の車好きっていうのは有名でね、北朝鮮の小学校の教科書に、彼は3歳のときに既に車を運転したと、8歳のときには険しい山道を疾走したっていうふうに書かれているんですよ」

―――金正恩氏はプーチン大統領のことを疑っていないのでしょうか?

(李相哲氏)「今のところはお互い利用し合っていますので、政治的にはそんなに単純ではないんですね。ただ、プーチン大統領の思惑は、中村先生がおっしゃるように、そこに盗聴器を仕掛けたのかそれは別にして、今、金正恩に何かしてほしいんですよ。彼の戦略の中の一環として、金正恩の機嫌を取っていると」

(武田一顕氏)「北朝鮮は本当にややこしくしてくれるわけですよ。中国はロシアに少なくとも武器は売ってないわけですよね。だけど北朝鮮は武器を売るから、せっかく中国が売ってないのにそれをウクライナの攻撃に使ってるから、余計ややこしくしている。中国からすると頭が痛いわけですよね」