続く爆撃 民間人が犠牲に
ウクライナは現在、東部の拠点をロシア軍の攻撃で奪われ、守りに立たされる状況が続いている。

2月17日、ロシア大統領府は、激しい攻撃を続けていた東部の要衝・アウディーイウカを完全制圧したと発表。前線から撤退してきたウクライナ兵士に話を聞くことができた。
アウディーイウカから撤退したウクライナ兵士:
「ロシア軍は兵士の命を気にもかけず攻撃してきました。こちらは兵士の命を守るため、総司令官が撤退の決断をしました」
アウディーイウカでは、「ロシア軍が化学兵器を使っていた」と別の兵士は証言する。

アウディーイウカから撤退した別の兵士:
「武器不足でしたが、戦うしかありませんでした。ロシア軍は爆弾だけでなく、化学兵器も使っていました。仲間は頻繁にガス中毒になりました」
ゼレンスキー大統領は、各国に繰り返し支援を求めているが、頼みの綱である欧米からの支援は目標に達していない。

厳しい状況が続くウクライナ。東部の街・スロビャンシクに滞在中、ホテルの近くにロシア軍のロケット弾が落ちた。翌日、現場に向かうと…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「ここは学校なんですけど、停電などの時に人々が集まって食料を得たり、あるいは暖を取ったりできるようなコミュニティセンターのような役割を果たしていたそうです。ここに昨日は、一人の職員が泊まり込みで作業していたところに、爆弾が落ちて、がれきの下から今日遺体が発見されたそうです」
爆撃された小学校の校長 オレナ・マリャルさん:
「ロシア軍は民間人も狙っています。助けを求めてやってくる親子や、食事を取りに来るおばあさんをも攻撃しています。ひどいです。もう限界です。こんなことを目にするなんて、耐えられません。」
この日は、同時に隣町も攻撃を受けていた。

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「昨日爆撃があった場所です。ここに一般の家屋が建っていたようなんですが、かなり大きく破壊されています。ここに大きな穴が空いてますね。」
残されたロケット弾の破片は熱で変形し、衝撃の大きさを物語る。28歳の男性と、その母と祖母も亡くなり、この日だけで、一帯で4人の民間人が犠牲となった。

首都キーウのマイダン広場。戦死者を追悼する小さな旗が、独立を記念するモニュメントに捧げられている。
その広場は今、旗で埋め尽くされた。
ウクライナ政府は公表していないが、アメリカ当局の推計では、戦死者の数は7万人に及ぶとニューヨークタイムズは報じている。
ロシアの侵攻から2年、市民の意識はどう変わったのか。

ウクライナ市民:
「戦う意欲が高かった人たちは去年までに亡くなってしまいました。もうそんな人たちはいません。政府が適切な行動を取らない限り、そして今の政治家たちのありようを見直さない限り、この戦争は負けると思います」