ロシアによる軍事侵攻から2年。ウクライナでは、兵士や武器の不足が深刻な問題となっています。ウクライナ東部ではロシアの爆撃がやまず、民間人の犠牲者は増え続けています。
いま、ウクライナ市民はこの状況をどう受け止めているのか。中には「この戦争は負ける」と案ずる声もありました。

ウクライナ最前線 兵器不足深刻化

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「これから砲兵部隊の陣地を訪ねます」

ジャーナリストの新田氏がやってきたのは、ウクライナ軍が撤退した東部の要衝・バフムトの近郊。前線からわずか6キロほどの場所にある軍事拠点だ。

設置されていたのは、旧ソ連時代の古い砲台。砲口は前線に向けられていた。侵攻してくるロシア軍に砲撃し、ウクライナ軍の後方支援を行うのが役目だ。ところが…

ウクライナ兵士:
「戦車などの兵器と、中に入れる弾薬が少ないので私たちにとって有利な状況とは言えません。兵器と弾薬があったら、ウクライナ軍はもっと戦果を挙げることができたと思います」

今ある砲弾を使い切ると、補充される見通しはないという。近くの戦車部隊も…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「戦車を隠してある砲台です。ここからドローンによる情報を得て、ターゲットを決まった時点で砲撃を開始するということです」

旧ソ連製のこの戦車に残された砲弾は15発。この日、4発砲撃し、明日には尽きるかもしれないという。

こうした砲兵部隊の“目”となり、前線を監視するのがドローン部隊だ。しかし、ここでも…

ドローン部隊 兵士
「残念ながら、民間からの支援も十分ではありません。偵察や攻撃に使うドローンの数は、どんどん減っています」

ドローンを使う前線の拠点を訪れると…

ジャーナリスト 新田義貴 氏:
「地下に掘られた穴の中で、ドローンの操作をしているということです。女性の兵士の方がいらっしゃって、ドローンの操作をしています」

キーウ出身の女性兵士・ターニャさん(42)。ロシアの軍事侵攻が始まる2年前までは女優として活動していたという。

2年前まで女優 ターニャさん:
「私は女優よりも兵士でいる方が役に立てると信じています。いつも強い女性の役を演じることを夢見ていました。2年間この役を演じられて幸せです。」

現在、ウクライナ軍の女性の数は6万人を超え、ロシアの侵攻前と比べ、40%増加している。

2年前まで女優 ターニャさん:
「敵を偵察するだけでなく、攻撃を止めるためにはたくさんのミサイルと砲兵が必要です」

兵力不足で、ドローンの重要性はますます高まっていると言う。

2年前まで女優 ターニャさん:
「ロシアに比べてウクライナの兵士の数ははるかに少ないです。味方を100人失うなら、100機のドローンを失うほうを選びます」