「この戦争は負ける」市民の声 帰りを待つ兵士の家族は…
2月11日、この広場でデモが行われた。声を上げたのは、戦闘に動員された夫の帰りを待つ女性や、その子どもたち。

「兵士たちは奴隷ではない」
初期に動員された兵士の多くは、交代要員もほとんどいない中で戦い続けているという。
デモの参加者:
「家族は、兵役の期間を明確に定めて欲しいのです。いま検討されている動員に関する新たな法案の中にも期間の規定はありません。私たちの夫は永遠に塹壕にいるでしょう。もう次の人の番が来ているのです」
ウクライナ国家国境庁のホームページには、「兵役逃れの若者」を捕らえたとされる映像が掲載されていた。いま兵士不足が深刻だ。
政府は、軍から50万人もの追加動員の要請を受け、徴兵対象の年齢を引き下げるなど、新たな法案を議会に提出した。しかし、そこにも兵役期間は明確に示されていないという。

デモに参加したユリア・イフナチュクさん。夫のアルトゥールさんは、ロシアの侵攻が始まった翌月に入隊を志願。激戦地アウディーイウカで戦っていたという。もともとは食品会社で働いていた。

2年前までは、息子のオレクサンドルくんと3人で幸せに暮らしていたのだが…

――あなたは彼(の志願)を止めようとしなかったのですか
ユリア・イフナチュクさん:
「止めませんでした。夫は私と息子、そして国を守ろうとしているということを分かっていたからです。夫に他の選択肢はありませんでした。
私たちはウクライナの降伏や、停戦を呼びかけている訳ではありません。この戦いは続けるべきだと考えています。ただ、最初から戦っている夫たちを交代させるべきだ、と訴えているのです」
ユリアさんが嬉しそうに見せてくれたのは、夫から届いた花束の写真。取材したこの日はバレンタインデーだった。

ユリア・イフナチュクさん:
「夫を心から誇りに思っています。彼がこの国のために戦っている間、夫の権利を訴え続けるつもりです」