がれき処理の参加者は「やれるっちゃ」がれきの97%をリサイクル

大友昭子さん。がれき処理に参加したおよそ800人の被災者のうちのひとりです。

大友昭子さん(77)
「選別してて、子どもの靴、それから入れ歯がいっぱい出てくる。『この人どうしてるだろうな』と思ったり色んなこと考えたよ」

震災前の暮らしの痕跡をひとつひとつ丁寧に選り分け、東松島では実にがれきの97%をリサイクルしました。がれき処理の仕組みを発案した橋本さんが、思い入れを持っている場所があります。

がれきの手選別を発案・橋本孝一さん
「これは東名の駅ですね。これがちょうどホームの跡地」

JR仙石線の旧東名(とうな)駅。当時、津波に飲まれ、線路や駅のホームにはがれきが押し寄せていました。かつての線路は今、遊歩道に生まれ変わりました。この下には、住民たちが分別したがれきが道路の下地として敷かれています

がれきの手選別を発案・橋本孝一さん
「だいたい厚さ20cmぐらいの層でずーっと敷いてあるってことです。どこの家の基礎か分からないけど、これがみんな役立った。改めてここ来ると複雑な気持ちだね。言葉が出ない気がする」

あの日からまもなく13年。当時電車が通っていたトンネルは、地元の子どもたちの通学路になっています。

―――ウクライナでもがれきのリサイクルはできると思いますか?
「思う思う。思うよ。だってここでやったんだもん。やれるっちゃ。だってここなんかもう石だらけで冷蔵庫から何から全部片付けて綺麗になったんだよ。なれるよ」

日本式のがれき処理は、ウクライナでも実際に動き始めようとしています。ロシア側の砲撃で破壊された住宅の解体作業に使われているのは、日本から供与された重機です。日本式のリサイクルを行うために、がれきの一時保管場所の設置も早ければ今月末にも始まる見通しです。

自宅の解体作業を見守る男性
「言葉だけでなく、行動で助けてくれる人たちがいることが本当にありがたいです」

2年を経ても終わりの見えない戦争。日本の取り組みが、小さな希望の火を灯しています。