「万博中止、能登復興、大阪万博10兆円」

 前日に長谷川さんを排除したとみられる男性がすぐさま近寄ってきて、強引に後方へ連れて行く。動画では、少なくとも4人が排除に関わっていることがわかる。

(1月20日 長谷川さんを排除した男性※動画より)

排除した男性
「やり方間違っているって。自分の主義主張そういうことでやって、テロリストと一緒だよ。あなたがやっていることはテロリストと一緒だよ」

長谷川さん
「お前が暴力を振るっているんだ。放せ、手を放せ」「誰か助けてください、誰が助けてください、暴力を振るわれています。誰か助けてください」

 しばらく押し問答が続いた後、長谷川さんは用事があったため、その場を離れた。このとき警察官が駆け付けてくることはなかった。前日に続き民間人に排除された長谷川さん。排除を止めようとする人もいなかったという。

長谷川さん
「周りの人が『排除はおかしい』と声を上げてくれたらその場で解放されたかもしれないけど、怖いと感じました。政治に対して意見があれば自由に発言できるのが当たり前な社会になってほしいし、自分も声を上げるのを続けなければならないと思っています」

 憲法学者は、警察という権力機関ではなく民間人による排除も問題があると指摘する。少し長いが重要な指摘なので掲載する。

岩本一郎北星学園大学教授(憲法学)
「札幌のヤジ排除訴訟のように、政治家に忖度した警察が直接市民を排除した事案よりも、問題を見えにくくする点で重大。公権力が直接現れない点で、表現の自由に対する危険性がぼかされてしまうおそれがある。私人によるヤジ排除は『ヤジのステルス排除』と呼ぶことができ、今後、選挙のたびに問題となるであろう」

「仮に選挙スタッフがヤジを実力で排除したとすれば、表現の自由の保障にとっては、道警ヤジ訴訟よりも深刻であるといえる。政治家が運動員を使って、ヤジを排除することが許されるということになれば、公権力を行使する警察とは違い、法的な根拠や明確な基準もなく、また厳格な手続的な保障もなく、政治家とその意を受けた運動員が、自己に都合の悪い言論を恣意的に排除できることになってしまう」

「開かれた公共の空間においては、演説する言論者の利益が常に優先するわけではない。 ヤジを含めた聴衆の反応は、翻って、演説をする言論者に再考を迫る。少なくとも、応答する責任を感じさせるはずである。再考・修正・応答は、健全な民主主義を支える市民的なエートスである。その意味で、運動員を使ってヤジを排除しようとする政治家には、民主主義にとって必要な資質や美質を欠くものといわざるをえない」

 札幌のヤジ排除訴訟の原告は次のようにコメントしている。

大杉雅栄さん