■「悪い円安」が進行し、日本経済は世界でも「分が悪い」


一方、日本でも物価上昇が起きている。日本の6月の企業物価指数は前年比で9.2%の増加となり、これで16カ月連続の上昇となった。

第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト:
日本では全然、インフレが起きていないのではないかというが、それは全然違っている。企業間では日本でも物価は高く、とくに注目したいのは輸入物価です。円安の影響もあり、6月は前年比で46%も上がっています。その2割は円安が後押ししているので、日本のインフレというのはアメリカと少し違い、輸入インフレ、外からやってくるコストプッシュインフレだというのがこの数字の意味合いだと思います。もともと円安の要因だと言われていたアメリカの長期金利は下がっているが、円は引き続き売られ安くなっているという乖離現象が起きている。



第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト:
まさにこれは「悪い円安」が進行しており、日本経済の実力よりもはるかに円が下落しているので、このトレンドを止めないと円安は日本経済にとってコストプッシュという形で景気を下押ししてくるのではないでしょうか。

中国経済の失速、アメリカやヨーロッパでの景気後退懸念がある中、日本経済の先行きは?

第一生命経済研究所 熊野英生首席エコノミスト:
日本はものすごく分が悪くなってきています。景気全体は製造業の輸出がかぎを握るのですが、アメリカは利上げで苦しい、中国もここに来て低調だと。日本にとっては製造業の輸出先のけん引役としてのアメリカと中国の両方が動かなくなってきているので、輸出も悪い、国内も消費が厳しいという非常に分が悪い状況で、日本経済に不安が台頭してきている感じがします。

(BS-TBS 『Bizスクエア』 7月16日放送より)