
歴史的な物価高が続くアメリカでは、6月の消費者物価指数が市場の予想を大きく上回り、前年同月比9.1%の上昇となった。約40年半ぶりの高い伸び率だ。市場では、FRB(連邦準備制度理事会)が7月にも通常の4倍となる1%の大幅利上げに踏み切るとの予測が強まっている。一方、日本では円安の悪影響も懸念される。現在の状況をどう見ればいいのか。専門家に聞いた。
■FRBが目指すのは「居心地のいい景気後退」
FRBが急速な利上げでインフレ対策を優先するのはなぜか。
ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏:
FRBは景気や雇用を犠牲にしてでもインフレ対策を優先しなければならないと考えているわけです。むしろ景気を後退させた方がいいということだと思います。ただし、一般的な景気後退とは違い、いわゆる不況のような状況とは違います。むしろ物価が少し下がっていき、賃金の伸び率と足並みがそろってきて、いまよりも居心地が良くなっていく「居心地のいい景気後退」というイメージかと思います。
■円安は家計や中小企業にとっては打撃、輸出企業にはメリット
一方、アメリカのインフレの影響は日本にも及んでいる7月14日、外国為替市場で円相場は一時1ドル139円台をつけた。これは1998年9月以来24年ぶりの円安水準だ。急速な円安の進行による日本企業や家計への影響は?
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
10月から11月の中間決算時に輸出企業の多くが通期見通しを上方修正する、いわゆる上方修正ラッシュのようなことが起きると思っています。一方、内需企業にとって円安は打撃ですから、内需企業は下方修正が相次ぐかもしれません家計にとっては打撃、中小企業にとっても打撃、輸出企業にとってはメリットということだと思います。