フランスの金融市場で、債券トレーダーは通常と異なるリスク判断を行っている。信用力の高い住宅ローンや地方公共団体向け貸付債権を担保として金融機関が発行するカバードボンド(債権担保付き社債)が国債より安全と考えているのだ。

ブルームバーグの集計データによると、フランスの銀行が発行し、主に住宅ローンを担保とするカバードボンドの利回りは現在、フランス10年国債より約30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低く、過去最も極端な逆イールド(金利差逆転)が発生した。わずか4カ月前の時点では、両者の利回りはほぼ同水準で取引されていた。

こうした逆転現象は、ソブリン債こそ自国市場で最も安全な借り入れベンチマークであるという債券市場の基本的前提の一つを覆すものだ。フランスの財政赤字を巡る不安の高まりや債務返済コスト上昇、大統領選を来年4月に控えた政治的不確実性が相まって、住宅ローンのプールを担保とするカバードボンドより高い利回りを市場は政府債に要求せざるを得ない状況だ。

カバードボンドは、発行体が最高格付け「AAA」でなくとも、しばしばAAAへの信用格付け引き上げ(アップリフト)を正当化する安全メカニズムを幾つも備えている。発行体への請求権に加え、発行体が破綻しても、担保設定された資産から優先的に弁済を受ける権利、二重の返済請求権(デュアルリコース)が投資家に認められている。

フランス金融市場の状況は、先進国市場の至る所で進行するパターンの極端な一例だ。エネルギー価格に起因するインフレが利上げの可能性を高め、債務コストを押し上げる中で、各国政府は借り入れを拡大している。米10年国債利回りは今週、2023年以降で最も高い水準に急上昇し、5%の水準に迫った。フランスでのカバードボンドへのシフトは、投資家がソブリンリスクから身を守ろうとする動きを反映し、世界的トレンドの予兆となるかもしれない。

フランスの債券市場で見られる極端な逆イールドは、今後数カ月続く政治的・財政的な不確実性を示唆している。親ビジネスの中道派、マクロン大統領の後継者が、国内総生産(GDP)比5%を超える財政赤字、国債利回りの急上昇、失速する経済成長にどう対処するかが、重要課題となる。フランスの10年国債(OAT)利回りは4.43%と金融危機の際に記録した水準に達した。

ABNアムロの銀行リサーチ責任者ヨースト・ボーモント氏は「フランスのカバードボンドの利回りがフランス国債以下で取引されるようになると5年か10年前に話していれば、カバードボンド関係者の大部分は正気を疑っただろう」と説明した。

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原題:‘Crazy’ French Inversion Shows Credit Is a Haven: Credit Weekly(抜粋)

--取材協力:Dan Wilchins.

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