(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、次回の政策金利判断について、来週発表される8月のインフレデータに「大きく左右される」と述べた。3日の講演で見解を示した。
ウォラー氏は事前に用意した講演原稿では利上げ支持に傾いていることを示唆したが、その後の質疑応答で発言のトーンを和らげた。来週のインフレ統計について、「妥当な」水準になると予想していると述べた。
ロイター通信主催のイベント向けに行った講演で、同氏は「インフレ率が2%目標に向けて引き続き改善しているのであれば、政策金利を現行水準に据え置くことを支持する用意がある」と発言。「しかし、インフレが強い内容となれば、利上げを検討するだろう」と話した。
ウォラー氏は現在の金融政策について、景気をやや抑制しているとの認識を表明。その上で、「インフレがそれほど大きく加速しなくても、より引き締め的な政策を支持する方向に傾く可能性がある。インフレ率2%に向けた進展が8月に逆行したことを示す証拠があれば、われわれの政策スタンスを小幅に調整することで、再び2%に向けた軌道に戻るよう後押しできる」と述べた。
それでもウォラー氏は、物価上昇圧力には改善の兆しが見られるとして、やや楽観的な見方を示した。
「インフレ率は米連邦公開市場委員会(FOMC)が掲げる2%目標を依然として大きく上回っているが、最近のデータは、ディスインフレの兆しがようやく表れ始めたことを示唆している」と語った。
質疑応答では、エネルギー価格上昇の影響がまだ他の物価に広範に波及していないため、今後1カ月ほどの間に発表される消費者物価と生産者物価はいずれも「妥当な」数字になるとの予想を示した。
また、インフレが低下する局面で利上げに踏み切るリスクにも懸念を表明。現行の金融政策の下で、インフレ率がFRB目標の2%に戻る可能性があるとの見解も明らかにした。
「少なくとも、ここは様子を見てみよう」とし、「来年まで待とうと言っているわけではない。この件に関して一定の改善が見られるかどうか、少し待って見極めたい」と述べた。
利上げ織り込み後退
短期金融市場が織り込む9月のFOMC会合での利上げ確率は、この質疑応答の間に低下した。フェデラルファンド(FF)金利先物の価格に基づくと、現在の確率は約50%となっている。
エバコアISIのアナリストらは顧客向けリポートで、ウォラー氏の講演内容はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁による2日の発言と軌を一にするものだと分析。
ウォーシュFRB議長がジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で講演を行った後に市場で広がった、9月利上げの可能性が高いとの見方に疑問を投げ掛けたと、同リポートで指摘した。
FRBは今年に入って5会合連続で政策金利を据え置いている。次回のFOMCは9月15、16日に開催される予定。
前回7月の会合では、投票権を持つ3人が0.25ポイントの利上げを主張して反対票を投じた。当局者からはその後も、景気見通しを巡ってまちまちなシグナルが発せられている。
8月の米雇用統計は4日に、消費者物価指数(CPI)は11日にそれぞれ示される。ウォラー氏は雇用統計について、労働市場が良好な状態にあることを確認する内容になると予想していると述べた。
バーFRB理事は1日、インフレが鈍化しなければ、利上げに踏み切る用意を整えるべきだとの考えを示した。インフレ率が5年以上にわたり目標を上回る中、物価上昇圧力が定着するリスクがあると警告した。
これに対し、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は2日、関税の影響が薄れる中でインフレは引き続き鈍化している兆候があり、エネルギー価格上昇の影響も他のサービス分野には波及していないとの見解を示した。
情報発信
ウォラー氏はまた、この日の講演で、自身が社会に向けてどのようなコミュニケーション戦略を採るかについても説明した。
柱になるものとして、金融政策に関する現在の自身の見解を伝えること、金融政策の見通しを伝えること、また一定の状況下では、先行きの金利軌道を示唆するためにフォワードガイダンスを活用することの3点を挙げた。
この発言から、情報発信を巡るウォラー氏とウォーシュ議長の姿勢の違いが浮き彫りになった。ウォーシュ氏はフォワードガイダンスを廃止するとともに、講演などFRBからの情報発信を減らすことで、社会や投資家へのシグナルの送り方や量を抜本的に見直す方針を示している。
一方、ウォラー氏は自身の見通しを発信することで、企業や家計は金融政策がどこに向かう可能性があるのかを、より明確に把握できるようになると説明。フォワードガイダンスには果たすべき役割があるとの考えを示した。
ウォラー氏は「フォワードガイダンスは現在やその他多くの状況では適切でないという点で、ウォーシュ議長に同意する」とした上で、「しかし、本当に必要な場合には活用すべきだと考えている」と語った。
原題:Fed’s Waller Leans Toward Holding Rates If Inflation Improving(抜粋)
(最終5段落を追加して更新します)
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