(ブルームバーグ):米ソフトウエア大手アドビは、マーケティング・分析ソフトウエア事業を率いるアニル・チャクラバルティ氏を次期最高経営責任者(CEO)に指名した。チャクラバルティ氏は、AI新興企業との厳しい競争に臨むことになる。
3日のアドビの発表資料によると、チャクラバルティ氏はシャンタヌ・ナラヤンCEOの後任として12月1日付で就任する。ナラヤン氏は執行会長に就く。ナラヤン氏は2007年からCEOを務めてきた。チャクラバルティ氏は20年1月にアドビに入社した。
アドビのクリエーティブ事業を率いていたデービッド・ワドワニ氏は、同社を退社すると明らかにした。ブルームバーグは6月初め、ワドワニ氏とチャクラバルティ氏が次期CEOの有力な社内候補だと報じていた。
画像編集ソフト「Photoshop」などで知られるアドビのソフトは、クリエーティブ分野やマーケティング分野の専門家にとって長年、標準的なツールとなってきた。しかし近年、AI時代に現在の地位を維持できるのか、ウォール街から疑問の声が強まっている。生成AIによって、アドビの高額な製品を使わずに画像や映像などを制作することが容易になった上、人気の高い新たなAIツールの多くは競合企業が開発している。
チャクラバルティ氏のCEO指名は、社内や投資家の一部に驚きをもって受け止められている。同氏が率いてきた部門は、同社の主力であるクリエーティブ部門に比べて規模がはるかに小さいためだ。
ジェフリーズのアナリスト、ブレント・ティル氏は、リポートの見出しを「アドビの新CEO、多くが予想した人物ではない」とし、「アドビの売上高の4分の3を担い、社内外から評価されているクリエーティブ部門責任者のデービッド・ワドワニ氏が合理的な選択肢だと考えていた」と述べた。
人事の発表直後、ワドワニ氏はリンクトインへの投稿で、アドビを退社すると明らかにした。「アドビは私にとって非常に大切な存在だが、今こそ新たな一歩を踏み出すのにふさわしい時だと判断した」と記した。
CEO交代とワドワニ氏の退社が発表された後、アドビ株は時間外取引で約2%下落した。AIによる事業への影響を巡る懸念から投資家の評価は着実に悪化しており、株価は24年初めから52%下落している。
ナラヤン氏は声明で「アニル(・チャクラバルティ氏)は、価値観と誠実さ、当社の事業に関する深い知識を備えた経験豊富な変革リーダーだ」と評価した。
チャクラバルティ氏が率いる部門の売上高は、11月までの25会計年度に58億6000万ドル(約9100億円)と、全社の約4分の1を占めた。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ氏はチャクラバルティ氏について、「製品全般へのエージェント型AI機能の導入で重要な役割を果たした」と指摘。「最大の課題は、売上高の伸び鈍化に歯止めをかけ、アドビが無料のAIツールに脅かされやすいとの見方を覆すことになりそうだ」とした。
チャクラバルティ氏はアドビ入社前、データ統合会社インフォマティカのCEOを務めていた。同社は現在、セールスフォース傘下にある。
原題:Adobe Names Chakravarthy CEO, While Other Top Candidate Departs(抜粋)
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