■要旨
・50代の多様な実態が、「不遇な世代」という単一評価を超越。
・仕事や親の介護など、同世代でも現在の生活条件は多様である。
・連載を通じ、50代の抱える不安や今後の生き方の選択肢を探求。
「団塊ジュニア」はいま、どこにいるのか~「不遇な世代」論から、「50代前半」の暮らしへ
「団塊ジュニア」という言葉は、人口規模の大きさに加え、社会に出た時期がバブル崩壊後の厳しい雇用環境と重なったことから、就職氷河期との関係で取り上げられることも多い。もっとも、団塊ジュニアと就職氷河期世代は同じ区分ではなく、前者は一般に1971~74年生まれという出生年による区分、後者は卒業・就職時の労働市場環境に着目した区分で、重なる部分は大きいものの範囲は異なる。
いずれにせよ、50代になると、働き続けている人がいる一方、子どもは成長し、親は高齢になる。住宅ローンの返済が続く人もいれば、すでに返し終えた人もいる。さらに、自分自身の健康や老後も次第に身近な課題になってくるため、仕事、家族、親、介護、住まい。こうしたいくつもの側面を重ねて眺めることで、この世代の「いま」が少しずつ見えてくる。
そこで本稿では、まず「団塊ジュニア」に相当する50代前半が、仕事、家族、親、住まいなどの面で現在どのような地点にいるのかを確認する。そのうえで、次稿以降は、仕事や家計、健康・介護、人とのつながりなど、人生後半を前にした不安の中身を見ていく。さらに、不安を抱えながらも、自分なりに働き方や暮らし方を選び直す余地は何によって支えられるのかを考えたい。
その際には、自分自身の生活を安定させることに加え、子どもや後輩に経験を伝える、家族を支える、地域や社会とかかわるといった「自分の外へ何かをつないでいく」役割にも目を向ける。発達心理学では、こうした次の世代や他者、社会への関心は「ジェネラティヴィティ」という概念とも関連する。
「団塊ジュニア」という過去の時代に由来するラベルだけで捉えるのではなく、50代前半という移行期に何を不安に感じ、どのような条件が人生後半の選択肢や役割を支えるのかをデータに基づいて考えていく。
仕事、家族、住まいから見る50代前半~就業77.0%、住宅ローン返済中28.1%
まず、ニッセイ基礎研究所の調査結果から、50~54歳の生活をいくつかの数字から見ていきたい。

50~54歳では77.0%が何らかの仕事に就いており、正規雇用は45.1%を占める。一方、家族に目を移すと、子どもがいる人は47.5%、親または義父母が同居もしくは日常的に行き来できる範囲にいる人は55.4%にのぼる。介護を現在または過去に経験した/している人も19.4%いる。
子どもとの関係も一様ではないことがわかる。就学中の子どもがいる人は33.0%、すでに就学を終えた子どもがいる人は24.1%であった。子育てが続く人と、子どもの独立が視野に入る人が同じ50代前半に並んでいる。一方、孫がいる人は2.7%にとどまる。親の高齢化が進む一方で、まだまだ「祖父母世代」へ本格的に移る前の時期ともいえる。
住まいを見ると、持ち家は70.3%に達する。そのうち住宅ローンを返済中の人は28.1%で、完済した人や当初からローンのない人も含まれる。
こうした数字を並べると、50代前半の特徴は一つの象徴的な属性や特徴に集約しにくい。働く時間はまだ続いている。その横で、子どもとの関係が徐々に変わり、親への支援や介護が視野に入り、住まいの返済段階も進んでいく。それぞれの変化が、同じ時期に少しずつ重なっている。
次に、50~54歳に加えて、40代後半、50代後半のデータと並べる。50代前半に見える変化が、この年代層に特有のものなのか、それとも年齢とともに少しずつ進む変化なのかを考えてみたい。