(ブルームバーグ):金の強気派は、米財務省が長期金利の上昇抑制に動いたことで勢いを取り戻しつつある。金価格の一段高を見込み、エキゾチックオプションやスプレッド取引が注目されている。
ベッセント米財務長官は、残存期間10-30年の国債買い入れを「少なくとも倍増」させる計画を示した。これを受けてドルが下落する一方、金とそのデジタル版ともいえる暗号資産(仮想通貨)のビットコインは上昇した。ドルの購買力低下を背景に実物資産を求める投資家の買いで、金スポット価格は8月に10%上昇。ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレ抑制に取り組む姿勢を示したことを受け28日に反落したものの、月間では1月以来の大幅高となる勢いだ。
同時に、ビットコインのショート(売り持ち)ポジションにはスクイーズ(踏み上げ)が発生。8月19日以降で12%上昇し、数カ月続いた停滞をようやく脱し、一時8万ドルを突破した。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの金・金属戦略グローバル責任者、アーカシュ・ドシ氏は「投資家は金ETFへの需要とデリバティブ(金融派生商品)市場の双方を通じ、金のロング(買い持ち)取引に戻ってきている」と指摘。「ディベースメント取引は休止していただけで、終わったわけではないとみている。9月を前に再び人気を集めている」と述べた。ディベースメント取引とは、投資家がドルの価値低下に備え、金やビットコインなどに資金を移す取引を指す。
もっとも、金相場への投資家の確信は年初ほど強くない。当時は、トランプ米大統領がドル下落を懸念していないと発言し、金が急騰した。トレーダーはSPDRゴールド・シェアETFで、コールオプションを単純に買うのではなく、大量のコールスプレッドを購入。エキゾチックオプションも人気で、いずれも相場上昇を見込むオプション取引のコストを抑えられる。
ドシ氏は「今回の8月の動きは、貴金属市場で1月に起きた『ボルマゲドン』(ボラティリティー急騰に起因した相場急落)時の値動きやデリバティブ取引と比べ、はるかに秩序立っているように見える」と話した。

金オプションのインプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は上昇しているものの、1-3月(第1四半期)の水準には達していない。金価格上昇に賭ける取引に支払われるプレミアムを示すスキューも、当時ほど大きくない。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)で欧州・中東・アフリカ地域のエキゾチック・フロー責任者を務め、グローバル・ハイブリッド取引共同責任者でもあるニーラジ・チョードリー氏は「年初と違うのは、金のボラティリティーが相対的に低い点だ」と指摘。「次の上昇局面では上値がより限られ、例えば4900-5300ドルのレンジ内にとどまるとの見方も一部投資家にある」と述べた。
投資家はデュアルデジタル戦略などのエキゾチックオプションも使い、金相場の上昇に賭けている。別の資産にも一定の条件を設けることで、金の強気ポジションを取るコストを抑える仕組みだ。
チョードリー氏によると、金と通貨を組み合わせた取引が人気を集めており、為替側に条件を設けることでオプションのコストを下げている。「例えば、金とドル・円の組み合わせを取引する投資家もいる。金高とドル高・円安の双方を見込み、両者の相関を約マイナス20%の水準で買える」と説明した。
さらに「満期時に金とドル・スイスフランが一定のレンジ内に収まることを条件とする取引の引き合いもある」と同氏。「トリプル・バイナリーの引き合いもあり、例えば金と原油、為替を組み合わせれば、通常の10-20倍を上回る利益も狙える」と述べた。

原題:Gold Bulls Turn to Exotic Options, Spreads in ‘Orderly’ Rally(抜粋)
--取材協力:Sidhartha Shukla.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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