定年後や再雇用終了後も働き続けたいが、現役時代と同じフルタイム勤務を続ける自信がないという人は多いのではないだろうか。本稿では、拙著『女性たちの定年後―お金・仕事・暮らしのリアル』で紹介した女性たちの事例を基に、短日・短時間勤務という選択肢について、家計面や健康面などから考察する。
同書でインタビューしたうち、週3日勤務で福祉の仕事に就いた女性や、余暇を重視して週4日勤務を選んだ女性は、自身の体力や希望する暮らしに合わせて働き方を決めている。統計でも、男女とも年齢が上がるにつれて、週40時間以上働く人の割合は低下する。
家計面では、高齢期には教育費や住宅ローンなどの負担が軽くなり、65歳からは公的年金を受給できるなど、世帯によっては、現役時代と同じ収入を必ずしも必要としないことが、パートタイム勤務を可能にしていると言える。一方、勤務時間を減らす際には、社会保険の加入対象から外れる可能性に注意が必要である。さらに健康面では、フルタイムだけではなく、パートタイムで働くことも、要介護認定リスクの低下と関連することが報告されている。働き続け、社会とかかわり続けることが、介護予防には重要だと言える。
しかし、継続雇用者の勤務形態は依然としてフルタイムが中心であり、短日数・短時間勤務を選べる企業は限られている。シニアがより長く働き続けるためには、企業に多様な働き方が広がることが重要だろう。個人の側も、「働き続けるか、無職になるか」という二者択一ではなく、体調や暮らしの変化に応じて仕事の比重を調整し、自分にとっての「ちょうどいい」働き方を選ぶことが、高齢期を豊かにするのではないだろうか。