月初に日米協調介入を受けて1ドル156円台半ばに急落してスタートしたドル円は、足元では159円台前半まで戻している。協調介入による円安抑制効果は単独介入を上回ると見込まれるうえ、介入実施を受けて、政府・日銀が、早期利上げを求める米政権の意向への配慮を迫られるとの見方から、日銀の利上げ観測も高まった。しかしながら、協調介入とはいえ、介入によって円安をもたらしてきた各種要因が一変するわけではない。財政拡張観測や日銀のビハインド・ザ・カーブへの懸念、活発な実需の円売りなどを背景とする円の先安観が根強く残っていることが、再び円安が進む要因になったとみられる。さらに、この間に中東情勢が緊迫化して原油高が進んだことも、本邦貿易赤字の拡大観測などを通じて追加的な円安圧力となった。

今後も消費税減税や来年度予算、防衛費の増額などを巡り、本邦財政の拡張が意識されやすい局面が続くだろう。日銀は秋に利上げを実施するものの、ビハインド・ザ・カーブへの懸念を払拭するには至らないとみている。貿易赤字の拡大も相まって、引き続き円安圧力の強い状況が続きそうだ。もっとも、160円の大台を超える局面では、協調介入への警戒感が高まるほか、実際に介入が実施される可能性も高まり、円安の進行は抑制されるとみられる。従って、3カ月後のドル円は現状よりやや円安となる160円台を予想している。

月初に2.8%台前半でスタートした長期金利は、一時約30年ぶりの高水準となる2.9%台半ばまで上昇し、足元でも2.9%弱で推移している。協調介入を受けて日銀の利上げ観測が高まったことに加え、原油価格の上昇や大規模クラウド企業による世界的な資金調達需要の拡大などが金利上昇圧力となった。

前述の通り、今後も本邦財政の拡張が意識されやすい局面が続く。日銀に対するビハインド・ザ・カーブ懸念も燻り続けそうだ。このため、一旦3%の節目を突破する可能性が高い。3%超では値ごろ感からの押し目買いも一定想定されるため、3カ月後の水準は現状をやや上回る3.0%付近と見込んでいる。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主席エコノミスト 上野 剛志)