2027年の春闘賃上げ率は前年を若干下回る見込み
厚生労働省が7/31に公表した「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば、2026年の賃上げ率は5.18%と2025年の5.52%を0.34ポイント下回ったが、33年ぶりの高水準となった2024年以来、3年連続で5%台の高水準を確保した。また、連合の「2026春季生活闘争 最終回答集計結果」によれば、2026年の平均賃上げ率は5.01%(2025年は5.25%)、ベースアップに相当する「賃上げ分」は3.50%(2025年は3.70%)となった。
2027年の春闘賃上げ率は5.10%(厚生労働省の「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」ベース)と2026年を若干下回ると予想する。企業の人手不足感は強い状態が続くものの、中東情勢悪化に伴う原材料価格の高騰が企業収益を下押しすることが賃上げ率の鈍化につながるだろう。

近年の高い賃上げ要求は、物価上昇への対応という側面が強かった。このため、2027年の春闘を展望する上では、今後の物価動向が重要なポイントとなる。消費者物価上昇率は今後加速し、春季交渉が本格化する2027年初には3%台まで高まると見込まれる。このことは、賃上げ要求を押し上げる要因となるだろう。一方、飲食料品の消費税率引き下げによって2027年度の物価上昇率が低下すると見込まれることは、賃上げ要求を抑える方向に働く可能性がある。
2027年の春闘賃上げ率は高水準ながら2年連続で前年よりも低下すると予想するが、5%程度の賃上げ水準は、定期昇給を除いたベースアップでみれば3%台半ばであり、引き続き日銀の物価目標の2%を上回っている。実質賃金上昇率がプラスを確保するには十分な水準といえるだろう。
名目賃金を消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)で割り引いた実質賃金は、2026年1月に前年比0.7%と13ヵ月ぶりのプラスとなった後、6ヵ月連続でプラスの伸びを維持している。名目賃金(現金給与総額)が2025年中の2%台前半から2026年入り後には3%台へ伸びを高めたことに加え、政府によるエネルギー負担緩和策の影響などから、消費者物価(持家の帰属家賃を除く総合)の上昇率が大きく縮小したことが実質賃金の押し上げに寄与している。
実質賃金上昇率は、消費者物価の上昇ペース加速を受けて伸び率が徐々に鈍化し、2026年度末にかけていったんマイナスに転じるが、飲食料品の消費税率引き下げを受けて消費者物価上昇率の鈍化が見込まれる2027年度入り後には再びプラスに転じることが予想される。
