2026年4-6月期の実質GDPは前期比年率1.1%と3四半期連続のプラス成長となったが、民間消費、住宅投資、設備投資の民間最終需要はいずれも減少した。

物価上昇ペースの加速に伴う実質購買力の低下を主因として民間消費が低迷すること、中東情勢悪化を受けたコストの大幅上昇や不確実性の高まりを受けて、設備投資の回復ペースが緩やかにとどまることから、景気は2026年度末にかけて停滞色を強めるだろう。

2027年度に入ると、飲食料品の消費税率引き下げに伴う物価上昇率の低下から家計の実質購買力が改善し、民間消費が回復に向かうほか、原材料価格の低下に伴う企業収益の改善を受けて設備投資の増勢ペースが加速することが見込まれる。

実質GDP成長率は2026年度が0.8%、2027年度が1.3%と予想する。消費税率引き下げによる実質GDP成長率への影響は2026年度が▲0.1%ポイント、2027年度が0.3%ポイントと試算する。

消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、輸入物価の大幅上昇が食料品や日用品等の幅広い品目に波及し、2026年度末には3%台まで加速するが、飲食料品の消費税率引き下げを受けて、2027年度には1%台まで鈍化するだろう。消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2026年度が2.3%、2027年度が1.3%と予想する。

2026年4-6月期は前期比年率1.1%のプラス成長

2026年4-6月期の実質GDPは、前期比0.3%(前期比年率1.1%)と3四半期連続のプラス成長となった。

国内需要は前期比・寄与度▲0.2%と3四半期ぶりに減少したが、輸入の減少を主因として外需が同0.5%と成長率を大きく押し上げたことから、3四半期連続のプラス成長となった。

民間需要は、民間消費(前期比▲0.0%)、住宅投資(同▲0.5%)、設備投資(同▲1.2%)の最終需要がいずれも減少したが、民間在庫変動が前期比・寄与度0.3%のプラスとなり、全体では前期比0.0%の横ばいとなった。

公的需要は、高校授業料や小学校給食費の無償化に伴う家計消費支出の減少分が計上されたことなどから、政府消費が前期比1.6%の高い伸びとなったが、公的固定資本形成が前期比▲0.1%の減少となったことに加え、国家備蓄原油の放出により公的在庫変動が前期比・寄与度▲0.5%の大幅マイナスとなったため、全体では前期比▲0.8%のマイナスとなった。

外需寄与度は前期比0.5%(前期比年率1.8%)と3四半期連続のプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比0.5%、財貨・サービスの輸入が同▲1.5%となった。輸出は、中国向けを中心に財輸出が前期比▲1.0%と減少したが、特許権の海外譲渡に伴い研究開発サービスが急増したことから、サービス輸出が同4.9%の高い伸びとなった。輸入は、ホルムズ海峡封鎖に伴う原油輸入量の急減を主因として財輸入が前期比▲1.6%と減少したことに加え、海外旅行の低迷が続いたことからサービス輸入も同▲1.4%の減少となった。

2026年4-6月期のGDP統計では、3つの特殊要因が重なった。第一に、高校授業料や小学校給食費の無償化に伴い、家計消費から政府消費への振り替えが生じたため、家計消費が押し下げられる一方、政府消費が押し上げられた。第二に、原油輸入量の急減が成長率を押し上げる一方、原油の調達難を受けた国家備蓄原油の放出により、公的在庫変動が大幅なマイナス寄与となった。第三に、特許権の海外譲渡がサービス輸出を押し上げる一方、設備投資(研究開発)を押し下げた。

このように、複数の特殊要因が需要項目を大きく変動させており、個々の需要項目から景気の基調を読み取りにくい結果となった。ただし、中東情勢の悪化による下押し圧力を受けながらも、実質GDPが0%台半ばから後半とされる潜在成長率を上回る伸びを確保したことは、景気の底堅さを示すものとして一定の評価ができるだろう。