原油相場は30日、米軍がイランに対する新たな攻撃を実施し、戦争終結に向けた交渉への期待が後退したことを受け、上昇している。

北海ブレント原油先物は、1バレル=92ドル前後で取引されている。29日も約8%上昇した。米国指標のWTI原油先物も1バレル=85ドルを超えた。

米国とイランの和平合意の見通しは一段と薄れている。トランプ米大統領は29日、イランによるヨルダンの米軍基地への攻撃を受け、報復する考えを示した。この発言を受け、戦争の長期化やペルシャ湾での供給リスクの長期化が意識され、原油価格は急騰した。中東地域の重要な代替輸送ルートである紅海での海運への懸念も高まっている。

米中央軍は29日夜、イラン革命防衛隊(IRGC)の数十カ所の標的に対し、「大規模な一斉攻撃」を実施したと発表した。中央軍は「今回の攻撃は、イランおよびその代理勢力が米軍、商船、湾岸諸国にもたらす脅威を、さらに低減させることを目的とした」と説明した。指揮統制施設、ミサイル・ドローン関連施設、沿岸監視施設、防衛拠点などが標的となった。

市場参加者は、一時は停止していた米国とイランの戦闘再開への対応を迫られている。戦争はさらに拡大しており、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、サウジアラビアへの封鎖を示唆している。これに対し、サウジアラビア軍は米軍とともに、フーシ派に関連するイラク国内の標的を攻撃した。

TDセキュリティーズのコモディティ戦略責任者、バート・メレク氏は、「イランがいかなる合意の下でもホルムズ海峡を管理する姿勢を崩していないことを踏まえると、市場は和平再開への期待を先走り過ぎた」と指摘した。そのうえで、「供給量の減少とエネルギー市場全体の需給ひっ迫が続く」との見通しを示した。

米国では、商業用原油在庫が2018年以来の低水準に減少し、中東紛争が数カ月続く中で現物市場の需給逼迫が強まっていることが改めて示された。米国の戦略石油備蓄(SPR)は18週連続で減少し、1983年以来の低水準となっている。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギートレーダー、レベッカ・ベイビン氏は、「在庫は市場の最大の焦点ではないかもしれないが、予想を上回る原油在庫の減少や、商業用在庫が4億バレルに近づいていることは、今後さらに注目を集める可能性が高い」と述べた。

原題:Oil Gains After US Strikes on Iran Overshadow Peace Prospects(抜粋)

--取材協力:Gabriel Levin.

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