韓国総合株価指数(KOSPI)は7月に過去最悪となる34%急落に見舞われ、バリュエーションが過去最低水準となった。

韓国株の押し目買いを示唆するような状況に見受けられるが、ピクテ・アセット・マネジメントやロベコ、イーストスプリング・インベストメンツといったグローバルな運用会社は積極的な買い戻しに踏み切っていない。韓国市場特有の極端な値動きが投資判断の障害となっているためだ。

韓国株は7月の下落局面までは今年、世界で最も好調な市場の1つだった。一方で投資家は、KOSPIが8%以上下落した際に発動されるサーキットブレーカーを9回経験した。

外国勢の慎重姿勢は、韓国市場を特徴づける高いボラティリティーが背景だ。その主因はサムスン電子とSKハイニックスへの極端な投資集中と両銘柄の株価に連動するレバレッジ上場投資信託(ETF)にある。

上昇局面では見過ごされていた問題だが、今は投資家が韓国株への投資を増やす際、より大きな安全性を求めるようになっている。AI向け半導体メモリー大手2社の割安感や業績見通しだけでは、押し目で買いを入れる理由として十分ではなくなっている。

ピクテのシニアインベストメントマネジャー、イ・ヨンジェ氏(ロンドン在勤)は「世界の株式市場に投資する機関投資家として見た場合、韓国市場の最大の問題はボラティリティーが高過ぎることだ」と指摘し、「非常に投機的な状況に資金を投入することはできない」と語った。

恐怖指数

値動きの激化を示す別の指標もある。韓国版「恐怖指数」とも呼ばれるKOSPI200ボラティリティー指数は87まで急上昇し、2025年12月時点の3倍超となった。グローバルファンドは今月、純額120億ドル(約2兆円)を引き揚げた。

フィデリティ・インターナショナルのマルチアセットポートフォリオマネジャー、イアン・サムソン氏は、「魅力的な水準まで下落した韓国株だが、この値動きの大きさが押し目買いを難しくしている」と述べ、「ポートフォリオ構築の観点からも、あまり積極的に買い進めることには慎重にならざるを得ない」と明らかにした。

ロベコも韓国株のバリュエーションは魅力的な水準まで低下したと認める一方、依然としてボラティリティーを警戒している。アジア太平洋株式部門責任者ジョシュア・クラブ氏(香港在勤)は、現時点で韓国株を買い増していないものの、「真剣に検討している」と説明し、「もう少し市場が落ち着くのを待っている」と話した。

ピクテのイ氏は、レバレッジETFに問題の多くがあるとみている。サムスン電子やSKハイニックスの急変動を受けてリスク管理担当部門が保有比率の引き下げを求めると、運用担当者はリスクを減らすだけでなく利益確定も進めた。その結果、外国勢や機関投資家は「ボラティリティーが正常化しない限り売り続ける可能性がある」と同氏は言う。

個人投資家による信用取引の活用拡大も相場への圧力となった。信用取引残高は大きく変動しており、7月28日時点で6月末のピークから14%減少し、33兆2000億ウォン(約3兆7800億円)となった。

イーストスプリング・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ジョン・ツァイ氏(シンガポール在勤)によると、「韓国市場の極端なボラティリティーは個人投資家のレバレッジによってさらに増幅されている。短期的な見通しが大口投資に十分安定しているのかという疑念を投資家に抱かせるには十分」だ。

規律ある投資

ただ、AI関連銘柄への投資テーマと同様に、韓国株の人気低下も一時的なものに終わる可能性もある。堅調なファンダメンタルズと魅力的なバリュエーション、良好な業績見通しを背景に、依然として投資妙味を見いだす投資家もいる。

フィデリティのサムソン氏は、「再び投資を増やしたいと考えているが、規律を持って進めようとしている」と述べ、「まず重要なのはポジションサイズで、短期的な値動きに耐えられないほど大きな投資額にしないことだ」との考えを示した。

KOSPIのバリュエーションも買い要因となり得る。予想株価収益率(PER、12カ月先)は6倍を下回り、過去最低水準だ。SKハイニックスとサムスン電子のバリュエーションも、台湾積体電路製造(TSMC)や米マイクロン・テクノロジーなど国外の同業他社を下回る水準まで低下している。

フェデレーテッド・ハーミーズはAI関連銘柄全体ではおおむね「アンダーウエート」の投資判断としているが、日本を除くアジア株式部門責任者ジョナサン・パインズ氏は韓国の半導体メモリー分野への投資を増やしている。

同氏は「われわれが最も選好しているのはサムスン電子だ。世界の大型AI関連株の中で最も割安だからだ。AIメモリー市場のバブルが崩壊したとしても、その割安な株価が一定の下支えになるはず」との見通しを示した。

それでも投資家は、バリュエーションだけでなく、より長期的な見方をする公算が大きい。韓国では単一銘柄に連動するレバレッジETFの新規上場が停止されているが、市場の変動がさらに激しくなれば追加の規制を求める声は一段と強まるとみられる。

韓国当局は29日夜に緊急会合を開き、レバレッジETFへの個人投資家の関与をさらに制限する方針を示した。投資家の保有比率に上限を設けることなどを検討している。

ピクテのイ氏は、「これまではレバレッジETFによって相場が過度に上振れしていた」と語った上で、「現在はファンダメンタルズから見てはるかに割安になっている。しかし、まずは市場が適切に安定することを確認したい」と強調した。

原題:Korean Stocks Are So Volatile That Funds Ignore Cheap Valuation(抜粋)

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