(ブルームバーグ):トランプ米大統領は21日、ジェネリック薬(後発医薬品)メーカーに対し、生産を米国へ移管するため2年間の猶予を設けると明らかにした。これに応じない場合、2028年8月から100%の関税を課すとしている。
その1年後の29年8月に関税率は200%に引き上げられる。
トランプ氏はSNSへの投稿で、「これはジェネリック医薬品の生産を米国へ回帰させるための措置であり、与えられた期間内に工場や設備の建設を決めない企業にはペナルティーを科すことになる」と説明した。
11月に中間選挙を控えるトランプ大統領は、医薬品価格を巡り家計の負担を左右する重要な問題の一つと位置付けている。米消費者が支払う薬価と海外市場との価格差に繰り返し不満を示し、その格差の縮小を目指してきた。トランプ政権は「TrumpRx」のブランド名を冠した消費者向け医薬品割引販売プラットフォームも立ち上げた。
ホワイトハウスはこれまでも、将来的に大きな影響を及ぼし得る関税措置について実施時期を先送りし、その期限を各国や企業との今後の交渉材料として活用する手法を繰り返してきた。
トランプ氏は製薬会社に対し、医薬品の米国内生産を拡大するよう求めている。25年4月には、トランプ政権が通商拡大法232条に基づき、国家安全保障上の観点から製薬業界に対する調査を開始した。
一方、特許医薬品に関する関税計画については変更しないと表明。この計画では、一部の輸入医薬品に対して最大100%の関税を課すことを目指す一方、いくつかの大きな例外を設けるとしている。
メルクやイーライリリーなど世界の製薬大手の大半は、政権との合意を取り付けることで、こうした懲罰的な措置を回避してきた。
限られる選択肢
後発医薬品メーカーに残された選択肢は限られる。特許医薬品メーカーとは異なり、利益率の低い事業で競争しており、世界各地にまたがる生産網に依存しているため、関税コストを吸収するのははるかに難しい。
世界有数の後発医薬品メーカー、サンド・グループのリチャード・セイナー最高経営責任者(CEO)は昨年、米国が高関税政策に転換すれば、医薬品の値上がりや患者のアクセス悪化につながる可能性が高いと警告した。
テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズやヴィアトリスとともに、サンドは特許切れとなった先発医薬品の後発品を製造している。後発医薬品の多くを米国外で生産しており、カナダやオーストリアに工場を構える。
米国の貿易相手国の中では、インドへの影響が最も大きくなる見通しだ。インドは米国向け後発医薬品の最大の輸出国であり、商工省によれば、医薬品は24-25年に105億ドル(約1兆7000億円)と、対米輸出上位3品目の一つとなっている。
医薬品への関税が導入されれば、インドの対米輸出の40%超が悪影響を受けることになり、鉄鋼、アルミニウム、自動車に対する既存の関税に新たな負担が加わる。
だが、インドの製薬会社にトランプ氏の新たな関税がどの程度適用されるかは現時点で不明。両国が2月に達した貿易合意では、インドが後発医薬品とその原料について交渉による結論を得るとされていた。
トランプ大統領がこれまで示してきた医薬品輸入への関税方針は、インドからの低価格医薬品の供給を危うくする可能性がある。医療情報会社シンフォニー・ヘルスのデータを基にしたブルームバーグ・ニュースの過去の分析によると、影響が大きいのは、広く処方されている経口避妊薬や高血圧治療薬、抗うつ薬などだ。
経口避妊薬については、24年の米国での錠剤処方の約65%を、インドのグレンマーク・ファーマシューティカルズとルピンの2社が製造していたことが分かっている。
原題:Trump Sets 100% Tariff on Generic Drugs With Two-Year Delay (2)(抜粋)
(第9段落以降を追加し更新します)
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