(ブルームバーグ):クウェートは、石油輸出用パイプラインを巡り、ブラックストーンとブルックフィールド・アセット・マネジメント、KKRの3社と160億ドル(約2兆6200億円)規模のインフラ契約を結んだ。いずれも世界有数のオルタナティブ資産運用会社だ。同国は最近、イランからほぼ連日攻撃を受けていた。
クウェート石油公社(KPC)が25日発表した資料によると、3社は合弁会社(JV)の株式計49%を均等に取得する。JVは、KPC傘下のクウェート石油会社が保有する全パイプライン資産の使用権を借り受け、クウェート石油会社にリースバックする。この取引により、KPC側は契約時に78億5000万ドルを受け取る見通しだ。
同国史上最大の外国直接投資となる。KPCのシャイフ・ナワフ・アルサバ最高経営責任者(CEO)は「厳しい地域情勢の中でも、クウェートが世界の資本にとって魅力的な投資先として引き続き存在感を高めているという強いメッセージになる」と発表資料で述べた。
米国とイランの戦闘が7月7日ごろに再燃して以降、クウェートはイランによるドローンやミサイル攻撃を他のどの国よりも多く受けている。米軍との共同使用施設を含むクウェート国内の基地や、発電・水処理施設が被害を受けた。
それでも同国は22日、3本立てのドル建て債発行で60億ドルを調達した。OPEC加盟国である同国の債券に対する需要が底堅いことを浮き彫りにした。
同国は紛争下でも、パイプライン取引を予定通り進めた。同国の中流インフラに世界有数の資産運用会社から長期資金を呼び込む初の案件となる。今回の取引は、外国投資の誘致を改めて強化する同国の姿勢を鮮明にした。過去数年は投資資金がカタールやアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアなど近隣の湾岸諸国に流れていた。
JVの対象は13本のパイプラインの使用権。発表資料によると、KPC傘下のクウェート石油会社は、20年6カ月にわたり資産の運営・保守権を保持し、輸送量に応じた使用料をJVに支払う。
センタービュー・パートナーズとHSBCホールディングス、JPモルガン・チェースが財務アドバイザーを務めた。調達資金はKPCの投資計画に充てられる。KPCは2035年までに原油生産能力を日量400万バレルに引き上げる方針だ。
同国の通常時の原油生産量は日量約250万バレル。ただ、イラン戦争とホルムズ海峡の事実上の閉鎖を受け、大幅な減産を余儀なくされた。
湾岸諸国では、政府が資産の支配権を手放さずに資金を調達し、経済の多角化を進めるため、こうした取引が増えている。
アブダビ国営石油会社(ADNOC)は19年、石油パイプライン網の権益40%をブラックロックとKKRに売却したが、その後、アブダビの事業体が買い戻した。ADNOCはガスパイプライン事業の一部についても、ブラックロック傘下のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)が率いる投資家グループにリース権を売却した。また、ブラックロック主導のコンソーシアムは、サウジアラムコのパイプライン子会社、アラムコ・ガス・パイプラインズの株式49%を取得した。
クウェートでは今年、精製施設2カ所や首都にあるKPC本社など、石油関連施設が相次いで攻撃を受けた。ホルムズ海峡が閉鎖され、貯蔵タンクが満杯になったため減産し、原油生産量は1990年のイラクによるクウェート侵攻後以来の低水準に落ち込んだ。その後は回復したが、輸出はなお制約を受けている。
同国は中東における米国の主要同盟国で、豊富な石油埋蔵量を背景に世界有数の富裕国であり、世界最大級の政府系ファンドも擁する。それでも今年は、戦争と原油生産の減少で経済が圧迫され、財政赤字が急拡大した。
原題:Blackstone, Brookfield, KKR Ink $16 Billion Kuwait Oil Deal (2)(抜粋)
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