(ブルームバーグ):宇宙開発大手スペースXは、主力ロケット「ファルコン9」で2028年以降に衛星を単独で打ち上げたい事業者からの受注を停止している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。まだ商業運用に至っていない「スターシップ」にイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が社運を懸けている状況を浮き彫りにしている。
関係者1人によれば、ロケットと衛星、AIを手掛ける巨大企業に成長したスペースXは、ファルコンシリーズ向けの再利用できない部品の一部についても製造を停止した。大型のロケット上段などが対象だという。
複数の衛星事業者が1基のロケットに相乗りするファルコン9のライドシェア・プログラムでも、現在は将来の予約を受け付けていない。これら関係者は非公開情報だとして匿名を条件に語った。
ただ、未来型宇宙船「スターシップ」の開発が難航するなど、さまざまな理由で計画が変更される可能性はあるという。米国防総省や米航空宇宙局(NASA)向けの打ち上げには、引き続きファルコン9を使用する公算が大きいと、一部の関係者は指摘した。
スペースXと国防総省、NASAにコメントを求めたが、直ちに返答はなかった。
スペースXは、ファルコン9からスターシップに移行する方針を公にしているが、時期は明らかにしていない。実現すれば、同社の打ち上げ事業で最大級の戦略転換となる。ただ、約1年半で市場投入するには、開発の遅れを克服し、長く延期されているスターシップの実用化に必要な技術革新を実現しなければならない。極めて大きな取り組みとなる。
スターシップ開発の遅れはスペースX株の売りにつながり、株価は先月の歴史的な新規株式公開(IPO)時の135ドルを下回っている。23日の通常取引では2.6%高の118.24ドルで終了したが、過去1カ月では約24%下落している。
スペースXは長年、世界で最も多く打ち上げられているファルコン9を使い、人や貨物を軌道に運ぶ事業でほぼ独占的な地位を築いてきた。ファルコン9は宇宙への輸送コストを大幅に引き下げ、スターリンクを含む同社の大規模衛星網の拡大を可能にした。
スターシップは、宇宙にデータセンターを設置し、スターリンクの通信網を拡大するとともに、人類を月や火星に送るというマスク氏の構想の中核を担う。
しかし、まだ運用段階には至っていない。これまでの試験では爆発事故や不具合、遅延が相次いでいる。スペースXは23日、予定していた飛行試験を延期した。延期は約1週間で2度目となる。
スターシップが28年末までに商業運用を始められず、同社がファルコンシリーズの利用にも戻らなければ、軌道への輸送能力は大幅に低下する。世界的に大型ロケットが不足する中、多くの宇宙企業が打ち上げをスペースXに依存している。
原題:SpaceX Is Turning Away Falcon Customers in Major Bet on Starship(抜粋)
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