トランプ大統領は、過去数日で米兵3人が死亡したことを受け、イランは「報いを受けることになる」と警告した。その後、米軍はイランの標的を攻撃した。一方、中東で戦闘がさらに拡大する中、仲介国は新たな停戦案を提示した。

米中央軍は、米東部時間20日午後9時(日本時間21日午前10時)ごろに攻撃を終了したと明らかにした。イランへの攻撃は10日連続となる。

中央軍は声明で、今回の作戦では「軍司令部、海上戦力、ミサイル・ドローン(無人機)発射拠点、防空システム」を標的とし、「ホルムズ海峡を通過する商船への攻撃を続けるイランの能力を低下させる」ことが目的だったと説明した。

これに先立ち、トランプ氏は20日、「イランが米兵を殺害するたび、その代償は何倍にもなって返ってくる」とSNSに投稿した。

イランは1週間以上にわたり戦闘が激化する中、敵対行為の緩和に向けた提案について仲介国と接触していると明らかにした。ただ、イエメンの親イラン武装組織フーシ派がサウジアラビアに対する海上封鎖を実施すると警告しており、緊張は依然として高い。

イラン外務省のバガエイ報道官は、「一部の仲介国からの提案がイランに伝えられている」と述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。イラン政府はまた、モメニ内相が20日にパキスタンへ向かうと発表した。

イラン学生通信(ISNA)によると、仲介役を務めるカタールとパキスタンは、まず米国とイラン双方が7月9日以前の状態に戻ることを目指している。ホルムズ海峡の支配を巡る戦闘は同日に再び激化し、先月署名された米・イランの暫定和平合意は事実上崩壊した。

仲介国が10日間の停戦を提案したとロイター通信が報じたことについて、米政府当局者は、トランプ氏は現在、ホルムズ海峡におけるイランによる船舶攻撃に対する報復を重視していると説明した。米軍の攻撃はトランプ氏が方針を変更するまで続く見通しという。一方、戦争終結に向けた外交努力は継続している。

北海ブレント原油先物は直近2営業日で約6%上昇した後、反落し、1バレル=88ドル近辺まで値を下げた。

フーシ派の報道官は20日、サウジに対する海上封鎖は、同国がイエメンの首都サヌアを包囲していることへの報復だと主張した。この動きは、世界の原油供給を巡るリスクをさらに高めるものだ。サウジが紅海経由で輸出する日量数百万バレルの原油輸送が脅かされる可能性があるためだ。

米国のガソリン小売価格は20日、1ガロン(約3.8リットル)=4ドルを再び上回った。11月に中間選挙を控えるトランプ大統領と共和党にとって、逆風となる可能性がある。

報復の応酬続く

米国がイランに対する空爆を実施する一方、イランはホルムズ海峡の通航管理は自国の権利だと主張し、船舶への攻撃をやめる姿勢を示していない。イランはクウェートやヨルダン、バーレーン、イラクなどにある米軍基地への攻撃も続けた。

報復の応酬が続く中、犠牲者も増え続けている。米軍は18日、イラク北部で撃墜されたイラン製ドローンの制御下での爆破処理中に、米兵1人が死亡したと発表した。17日にはイランによるヨルダンへの攻撃で米兵2人が死亡した。また、同じ攻撃で別の米兵1人が依然として行方不明となっている。

イラン当局によれば、両国の間で今回の戦闘が再燃してから2週間足らずの間に、米国の攻撃で橋などが破壊され、50人超が死亡、500人超が負傷した。

米国とイランがホルムズ海峡の通航を巡る合意に達するまでは、事態の打開は見込みにくい。同海峡の通航量は急減しており、タンカーの隻数は、3月から4月初めにかけて紛争が最も激しかった時期とほぼ同水準となっている。

トランプ氏は先週、イランが譲歩しない限り、空爆を強化するとともに標的を拡大すると警告した。今回の米軍による攻撃は、死亡した兵士らに「敬意」を示すためだったと記者団に語った。レビット大統領報道官は、戦死した米兵らの遺体の帰還に合わせて21日夕に行われる式典に、トランプ氏が参列すると明らかにした。

イランのアラグチ外相は、外交を放棄しないものの、米国の軍事攻撃を受けている間は交渉の席に戻ることを強いられることはないとの考えを示した。

アラグチ氏は自身のテレグラムに投稿したインタビューで、「ホルムズ海峡とペルシャ湾におけるイランの行動は世界的な影響を及ぼし、われわれは世界的な存在となった」と述べ、イランにとってホルムズ海峡の支配は、米国に対する影響力の源泉であるとともに、自国の安全保障に不可欠だと考えていることを強調した。

さらに「これは決して小さなことではない。この地域は、イランの安全保障なくして完全な安全保障は得られないことを認識した」と続けた。

ルビオ米国務長官は、イランは引き続き交渉を望むシグナルを送っているとの認識を示した。また、和平合意を望む勢力と戦闘継続を求める強硬派との亀裂がイラン政府内で生じている兆候が見られるとの見方をあらためて示した。

原題:US Strikes More Iranian Targets as Houthis Threaten Blockade、Trump Vows Iran ‘Will Pay’ for US Deaths as Mediators Push Truce(抜粋)

(第2-3段落に米中央軍の攻撃終了を追加して更新します)

--取材協力:Patrick Sykes、Rakteem Katakey.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.