ガソリン価格の高止まりを受け、米国では高性能車のドライバーを含め、節約のためプレミアムガソリンからレギュラーへ切り替える動きが広がっている。

燃料代キャッシュバックアプリ「アップサイド」のデータによると、イラン戦争による価格急騰前の2月平均と比べ、6月22-25日のプレミアムガソリンの1日当たり販売量は約5%減少した。一方、ミドルグレードは約2%減少し、レギュラーは約10%増加した。

こうした傾向はイラン戦争開始後の価格高騰を受け、消費者がより安価な燃料へ切り替えている流れと一致する。

ガソリン価格比較サイト「ガスバディ」で石油分析責任者を務めるパトリック・デハーン氏は、燃料価格が上昇すると、「ほぼ例外なくプレミアムからレギュラーへの切り替えが起きる」と指摘。プレミアムを好むものの必須ではない車の利用者が切り替えるという。

ただ最近では、本来プレミアムガソリンの使用が推奨または必要とされる高級車や高馬力の車のオーナーにも節約の動きが広がっている。イラン戦争を受けたエネルギー価格の急騰は、インフレが続く中で消費者心理をさらに冷やした。

ロサンゼルスで映画・テレビ業界に勤めるカルロ・サントス氏は2月、テスラ「モデル3」から2024年型フォード「マスタング」に乗り換えた。V8エンジンと力強い加速で知られるマスタングは、プレミアムガソリンの使用が推奨されているが必須ではない。乗り換えから約1週間後に米国とイスラエルがイランを攻撃し、全米で最もガソリン価格が高いカリフォルニア州では燃料価格が急騰した。

サントス氏の毎月の燃料代は、テスラ時代の約150ドル(約2万4000円)から約900ドルへ膨らんだ。一時はレギュラーとプレミアムを混ぜて給油したものの、最終的には渋々ながらマスタングを手放して再びテスラに戻した。

「毎月1000ドル近い燃料代では、通勤用としてマスタングを維持できなかった」と同氏は話した。一方で、「電気自動車の運転にはどこか味気なさがある」とも語った。

ポルシェやBMWなどの高級車メーカーは、指定より低いオクタン価の燃料を使用しないよう勧めている。メーカーによれば、オクタン価の低い燃料は出力や燃費の低下に加え、エンジンノッキングを引き起こし、深刻な損傷につながる恐れがある。

原油価格の下落を受けガソリン価格はやや落ち着きつつあるが、アップサイドの主任調査エコノミスト、トーマス・ワイナンディ氏は、消費者は依然としてプレミアムガソリンの購入に慎重だと指摘する。

米自動車協会(AAA)によると、3日時点のレギュラーガソリンの全米平均価格は1ガロン当たり3.81ドル、プレミアムは4.70ドルで、価格差は約90セントと過去最大となった。ワイナンディ氏は、プレミアム価格は高止まりしやすいとみている。

デハーン氏によると、価格差拡大の背景には、プレミアムガソリンを必要または推奨する車種の販売が増える一方、ハイオクガソリンの生産拡大が追いついていないこともある。原油価格が落ち着いても、両者の価格差は年末までに1ガロン当たり約1ドルへ拡大する可能性があるという。

原題:Drivers Shun Premium Gas in Favor of Regular as Prices Bite(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.