ゼロでも1でも、経済への影響は大差ない
しかし、政治的には重要な論争でも、食料品の消費税が、2年間、「ゼロか、1か」は、マクロ経済への影響はほとんど変わりません。それよりも「2年後の2029年4月に、一体どうするつもりなのか」の方が、はるかに重要な問題です。今のところ、「2年後」については議論が全くありません。
建前としては、2年間に限った消費税減税なので、2年後には再び食料品の消費税が8%に戻ることが前提です。しかし、そんなことがすんなり実現できると思っている政治家は、はっきり言って、誰もいないでしょう。
1%の消費税が一気に8%に上がるとなった時の、世論の反発は想像を超えた大きさになるでしょう。その前に行われる国政選挙では、大きな争点になり、8%への再引き上げは、政治的には、相当困難を伴います。
7%も一気に引き上げたら甚大な影響
また「政治的云々」という以前に、消費税を7%も一気に引き上げるなどということ自体、経済政策としてあり得ないと、私は思います。そのショックの大きさを考えれば、政策で大不況を作り出すようなものです。
過去の消費税の引き上げは、0%→3%→5%→8%→10%と、すべて2~3%の引き上げでした。それでも税率引き上げの度に、大きな「駆け込み需要」と「反動減」を生み出し、消費と成長の減速を作り出しました。
例えば、5%から8%になった2014年4月の増税の際には、引き上げ直後の実質GDPは、前期に比べ年率換算で7.1%もの壊滅的なマイナス成長を記録しています。もちろん2014年は、すべての消費税の引き上げで、消費税に占める食料品のウエイトは20%以下に過ぎません。また、食料品は、一般財と違って、「買いだめ」には限界もある上、「買い控え」の我慢にも限界があります。それでも7%と、当時の2倍以上の税率引き上げを、家計がすんなり受け入れるとは思えません。
コメや納豆、もやしの消費税が、一気に7%も上がって、感情的に怒りや不安を感じない消費者などいないはずです。
消費税再引き上げと同時に、別途給付が始まったとしても、給付がない人もいるわけですし、財布の紐は急収縮し、消費不況が訪れる可能性が高いと言わざるを得ません。店頭では、7%の価格転嫁を一気に行うことは難しく、小売業者の悲鳴は想像に難くありません。そんな状態を自ら進んで作り出すなど、経済政策としては、あり得ない話です。