女性管理職比率は国際的にみると依然として低水準

本稿では、女性のキャリア採用市場が量と質の両面で改善している背景として、女性自身の職域拡大と職務の高度化について確認した。

まず国勢調査を用いて専門的・技術的職業従事者の変化を見ると、女性専門職は1995年の約341万人から2020年には約504万人へと大幅に増加した。特に、保健医療や教育といった従来から女性比率の高い職業に加え、社会福祉分野やIT分野、経営・金融分野にも女性の進出が広がっていることが確認できた。女性専門職は量的に拡大しただけでなく、その内容も多様化している。

また、総合職に占める女性割合は1993年の2.5%から2022年には18.7%へ上昇していた。さらに、管理職に占める女性割合も上昇しており、課長相当職は2003年の2.6%から2024年には12.3%へ上昇した。日本国内に限って時系列に比較すれば、中期的には、女性が組織の意思決定やマネジメントに関与する機会は着実に拡大した。

もっとも、女性管理職比率は国際的にみると依然として低い水準にあることは付け加えておきたい。IMFによると、日本の民間部門における女性管理職比率は約13%で、OECD平均の約34%を大きく下回っている。米国やフランスでは女性管理職比率が約40%に達しており、日本では女性の管理職登用が進んできたとはいえ、国際的にはなお改善の余地が大きいと言える。

このように、近年の女性のキャリア形成は、就業機会の拡大だけではなく、より専門性の高い職業や責任の大きい職務への進出を伴って進展してきたと言える。こうした人的資本の蓄積や職務経験の高度化は、企業による女性人材への評価向上につながり、近年みられる女性の正社員転職や賃金上昇を伴う転職の増加を支える重要な要因の一つになっていると考えられる。本稿で確認した変化は、女性の専門職への進出による水平的職業分離の緩和だけでなく、総合職や管理職への進出による垂直的職業分離の緩和も伴うものであった。こうした変化が、近年みられる女性の転職市場改善の重要な背景になっていると考えられる。今後も女性のキャリア採用市場の動向を考える上では、専門職化や職務の高度化の進展に注目する必要があるだろう。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子)