女性の職務の高度化

1995年以降、女性の専門的・技術的職業従事者は大幅に増加した。特に医療や教育といった伝統的な専門職だけでなく、福祉、情報通信、経営・金融分野などにも進出が広がっている。このことは、女性の活躍のフィールドが拡大したことを示している。

しかし、女性のキャリア形成の変化は、職業の種類や就業者数の増加だけでは捉えきれない。同じ職業や組織の中でも、女性は補助的業務や下位職に、男性は意思決定を伴う上位職に配置される傾向がある。このような階層上の分離は「垂直的職業分離」と呼ばれる。この状況を測る指標として、コース別雇用管理制度がある企業で、主に基幹的な職務を行う「総合職」と、主に定型的な職務を行う「一般職」に、女性がどのような分布で就いているかを見る方法が考えられる。

コース別雇用管理制度は、男女雇用機会均等法施行を機に、日本経営者団体連盟が提唱し、大企業を中心に導入された。しかし、実態として女性の大多数が一般職として採用され、結果的に、性別職域分離を拡大したという批判が多く、厚労省が通達を出すなどして注意を促し、多くの企業がコースの在り方を見直してきたという経緯がある。

厚生労働省の「雇用均等基本調査」では、コース別雇用管理制度の有無ごとの企業数といったデータは比較的複数年にまたがって存在するが、女性従業員のうち総合職や一般職に就いている構成割合といったデータはほとんど無い。データの制約がある中で、女性の総合職への進出状況を大まかに掴むために、「総合職のうち女性が何割を占めるか」について、先行研究も参照しながら中期的変化を見ると、1993年ではわずか2.5%に過ぎなかったが、2014年度は9.1%、2022年には18.7%に増えた。

さらに2000年代以降、コース別雇用管理制度を見直した企業が、転勤範囲を限定するなどした「エリア総合職」のようなコースを導入するケースも増え、総合職に準じたコースに就く女性も増えている。このことは、同じ職業であっても、より高度な職務を担当する女性が増えたことを表しており、キャリア採用での女性の評価につながった可能性がある。

女性管理職の数と割合の変化

最後に、総務省統計局の国勢調査に戻って、1995年と2020年の管理職に就く女性の人数の推移を比較する。管理職登用は、企業内の垂直的職業分離を最も明確に示す指標である。

比較の結果、管理的職業従事者に分類される女性は1995年の約26万人から2020年には約19万人へ減少している。ただし、この減少は管理職登用の後退を意味するものではない。国勢調査の管理的職業従事者には企業役員や自営業主等も含まれており、1990年代以降の中小零細事業者の減少の影響を受けている可能性がある。一方で、総数に占める女性割合は、寧ろ9.6%から15.6%に増加している。

そこで次に、企業の管理職に占める女性割合の変化を分析する。常用労働者10人以上の企業を対象にした厚生労働省の「雇用均等基本調査」より、管理職の女性割合をみると、例えば課長相当職の場合、2003年の2.6%から直近の2024年では12.3%へ上昇しており、中期的には意思決定層への女性登用が進んだことがうかがえる。このような変化からも、日本国内で時系列に比較すれば、中期的には女性の職務の高度化が進んだと言える。