(ブルームバーグ):ニデックの定時株主総会が18日、京都市内で開かれ、岸田光哉社長ら取締役候補の選任など会社提案の議案をすべて承認した。不正会計や品質不正疑惑への対応が続く中、創業者の永守重信氏が経営の一線を退いた後の新たな経営体制の下で信頼回復に向けた新たな船出となる。
今回の総会で選任された取締役12人のうち9人は社外取締役となる。不正会計などの問題を受けてガバナンス(企業統治)が問われる中、さまざまな業種の企業経営者や監査法人、検察官出身者など重厚な布陣となった。
総会で、岸田氏はニデックはさらに良い会社になれるとの認識を示した上で、組織として「ノー」と言える環境を整え、上から下りてきた方針についてもチームで是非を議論できる企業風土を目指す考えを示した。また、改革は腰を据えて取り組むべき長期の課題だとし、道筋をしっかりと立てて改革を「誠実に進めていきたい」と話した。
ニデックは永守氏の猛烈な働きぶりで急成長を続けた経緯があり、同氏は長年、カリスマ的な経営者として株主から強く支持されていた。4時間弱の総会では永守氏が去った後、ニデックとしての競争力が見えにくくなっているとの声も出た。
これに対して岸田氏は、祖業であるモーターなどのものづくり技術だけで今後、生き残っていけるのかと自問していると明かした。その上で、これまでのように部品単品ではなくモジュールやソリューションの提供などを含めてニデックの事業範囲を再定義し、幅広い構えを持つことで競争力を維持したいとの考えを示した。
永守氏に裏切られたという気持ちを持つ株主もいた。京都市在住の佐々木治郎さん(80)は20年前にニデック(当時の社名は日本電産)株を購入。不正会計発覚後に半分売却したが残りはまだ保有している。総会前の取材で、永守氏の不正会計への対応は期待外れだったとし、「愛想尽かしたというか、見損なった」と話した。「もっと若い人が経営をするのがいいと思う」とも述べ、岸田氏ら新取締役の選任には応援の意味も込めて賛成する考えを示した。
オアシスも質問
ニデックでは不正会計問題を受けて名誉会長だった永守氏をはじめ、複数の経営幹部らが相次いで辞任。内部管理体制の立て直しが喫緊の課題となっている。昨年10月には東京証券取引所から特別注意銘柄に指定された。指定を解除するには1年後の審査までに内部管理体制の改善を進め、確認書を提出する必要があり、上場廃止のリスクがくすぶる。
岸田氏は5月のブルームバーグのインタビューで上場維持を目指す方針を示しており、26年10月末までに確認書の提出を目指す考えを改めて示した。また、事業再編やポートフォリオ見直しなどに注力する方針も示していた。
3月には、香港のヘッジファンドであるオアシス・マネジメントがニデック株6.74%を保有していることが明らかになった。またブルームバーグのデータによると、永守氏は今も個人としてニデック株8.3%を保有する筆頭株主だ。再生を目指すニデックにとって今回の総会ではオアシスや永守氏の意向にも関心が集まっていた。
そのオアシスの担当者を名乗る人物が総会で、海外売上比率が高いニデックが外国人取締役を登用しない理由について質問した。退任が決まっている社外取締役の酒井貴子氏は、約80名の取締役候補者の中に外国人はいたと回答。適切なプロセスを経て選出された現在の候補者には国際感覚を持ち合わせている人材もいるとし、今後さらなる多様性について検討したいとした。
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