米国防総省は、インド太平洋軍の名称を「米太平洋軍」に戻すと発表した。トランプ大統領の1期目に変更された名称を元に戻す措置。アナリストらは、米政府によるアジア戦略の位置付けの変化を反映している可能性があると指摘している。

同省によると、米太平洋軍(USPACOM)の名称復活は、同軍の70年以上の歴史に敬意を表するもので、任務や地理的な管轄範囲に変更はないという。

同軍は、16日夕に発表した声明で、管轄地域は従来通り米西海岸からインド西部の国境までとした上で、「自由で開かれた」地域への関与を維持していくと説明した。

トランプ政権はすでに、国防総省を「戦争省」と呼ぶ名称復活を実施。同省はこの変更で生じるコストが5000万ドル(約80億円)を超えると見積もっている。政権は、米平和研究所やケネディ・センターなど、ワシントンにある複数の建物にトランプ氏の名前を加えようと試みてきた。

米太平洋軍への名称変更は、運用の変化よりも、政権の「アメリカファースト(米国第一)」の姿勢を反映しているとみられる。ハドソン研究所の防衛アナリストであるブライアン・クラーク氏によると、軍の名称から「インド」を削除することは、米政府が当事国である地域での米国の利益をより重視する姿勢の表れだという。クラーク氏は「米国の利益により注力していた時代に時計の針を戻そうとする、政権の取り組みの一環。太平洋には米国の領土が多くあるが、インド洋は違う」と語った。

クラーク氏は、戦略の狙いがより明確になると説明する。一方で、今回の決定は、中国の軍事的台頭に神経をとがらせる地域で、インドや日本などアジアの民主主義国家との協調を支えてきた概念を、政権が軽視しているのではないかという疑問を生じさせている。

同地域の安全保障問題に詳しい防衛アナリストのデレク・グロスマン氏はX(旧ツイッター)への投稿で、2期目のトランプ政権は戦略地政学的な枠組みとしての「インド太平洋」を再考していると指摘。「公式発表ではすでに『アジア太平洋』という言葉が何度も使われており、中国への強硬姿勢を抑える方針を強く示唆している」と指摘した。

原題:Trump Restores Pacific Command Name, Raising Strategy Questions(抜粋)

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