二人以上世帯の貯蓄現在高(平均値)は、初めて2,000万円を超え、過去最高を更新した。本稿では、2026年5月に公表された総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果(二人以上の世帯)」および同調査の時系列データに基づき、家計貯蓄の動向を確認する。

とりわけ2025年は、二人以上世帯の一世帯当たり貯蓄現在高が比較可能な2002年以降で過去最高を更新する一方、世帯主が65歳以上の無職世帯(以下、「高齢無職世帯」という)では6年ぶりに減少した。こうした動きを踏まえ、家計貯蓄が過去最高となった背景にある資産構成の変化と、高齢無職世帯における預貯金取り崩しの意味を考察する。

貯蓄が過去最高のなかで逆行した高齢無職世帯

2025年の二人以上世帯における一世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は2,059万円となり、前年に比べ75万円、3.8%増加した。7年連続の増加であり、比較可能な2002年以降で最高である。このうち、勤労者世帯の貯蓄現在高(平均値)も1,717万円と、前年に比べ138万円、8.7%の増加となり、両者ともに増加基調が続いている。一方、高齢無職世帯の貯蓄現在高(平均値)は2,494万円となり、前年から66万円、2.6%減少した。6年ぶりの減少である。

もっとも、高齢無職世帯の貯蓄現在高は、過去にも2005年から2012年頃にかけて、また2015年から2019年頃にかけて減少局面を経験している。こうした過去の減少局面では、二人以上世帯および勤労者世帯も伸び悩む傾向にあった。これに対し、2025年の動きは方向感が明確に分かれた。二人以上世帯および勤労者世帯では貯蓄現在高が過去最高を更新する好調な状況のなかで、高齢無職世帯が減少に転じた点が2025年の特徴である。次節以降では、貯蓄の内訳からその背景を確認する。