足元の株価は政策誘導が下支え役となるも、先行きには不透明要因が山積
このところの中国金融市場においては、中国本土株が堅調な動きをみせている。
当局が投資家に対する銀行株の保有規制の緩和を検討していることが伝えられており、時価総額上位の銀行株が上昇基調を強めて相場全体を下支えしている。
そのうえ、当局は需給のコントロールを目的にIPO(新規株式公開)を大幅に絞り込んでいる模様であり、結果的に市場に流通する株式数の増加を抑えることにより、株式価値が下支えされる一助となっている可能性がある。
背景には、前述したように不動産不況に底がみえない状況が続いており、逆資産効果が個人消費をはじめとする内需の足かせとなる展開をみせるなか、株価を下支えすることによる資産効果が個人消費を喚起することを狙っているとの見方もある。
足元では、企業部門は中東情勢の緊迫化を受けた原油をはじめとする原材料の価格上昇に直面するなか、中間財をはじめとする企業間取引においては価格転嫁が広がりをみせている。
しかし、不動産不況の長期化や若年層を中心とする雇用回復の遅れが家計部門の財布の紐を固くしており、企業は製品価格への転嫁に慎重となり、結果的に消費者段階の物価が伸び悩む事態となっている。
中東情勢の行方も見通しが立ちにくいなか、原油をはじめとする原材料価格の高止まりが長期化しているにもかかわらず、最終製品への価格転嫁ができない企業部門を中心に業績が圧迫されることが株価の重しとなることも懸念される。
そうなれば、不動産市況の低迷に加え、株価の低迷もバランスシート調整圧力を強める。
中国景気の先行きには内需を中心に不透明要因が山積している。

(※情報提供、記事執筆:第一ライフ資産運用経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト西濵 徹)