業種別の業績格差

2026年度前半(4~9月)にかけてのコスト高は、業種別にみて、いくつかの業種では企業収益に大きな下押し要因になるだろう。原油高の影響は、川上の石油元売り、化学などの素材業種の中には、割に早く価格転嫁を進められることから、業績面での悪化は起こりにくく、むしろ価格引き上げによる収益拡大が見込まれる。原油だけではなく、鉱物資源に関係する商社、海運などにもプラスがあるだろう。資源開発に絡んだプラントなどインフラ系の業種、機械メーカーにも業績拡大が見込まれる。

逆に、燃料代、輸送コスト、包装・容器代などの高騰が重石になる業種は少なくない。例えば、燃料代の転嫁に時間がかかるのは空運・陸運といった物流であろう。燃料・原材料で原油を間接的に多く使用する業種には、食料品、繊維、木材・木製品、窯業土石、その他住宅関連の素材業種、建設があり、これらの業績にはマイナスとみられる。

また、原油高騰で値上げをしたとき、間接的に需要が冷え込むことが警戒される分野が、財・サービスには多くある。宿泊・レジャー、飲食サービス、個人サービス、衣料品などの小売、自動車販売、住宅販売などが挙げられる。消費者に近い分野は値上げに弱く、価格転嫁が進めにくい。

今回のイラン攻撃では、原油に直接的に絡まなくても、半導体、金融、防衛のように独自需要が盛り上がる期待が大きい分野がある。半導体は、AI需要が世界的に高まることへの恩恵で、半導体価格の高騰が株価などでも好感されている。金融は、内外の長期金利の上昇で運用収益が増えることへの期待感と、株価上昇による恩恵である。防衛は、現時点でイラン攻撃とは絡まなくても、将来的にトランプ政権からの防衛費積み増し要求が予想され、需要拡大が見込まれる。

<業績悪化>
・食料品、繊維、木材・木製品、窯業土石、その他住宅関連の素材業種、建設 ・・・ コスト効果

・宿泊・レジャー、飲食サービス、個人サービス、衣料品小売、自動車販売、住宅販売 ・・・ 価格上昇が需要にマイナス

<業績改善>
・石油元売り、化学などの素材業種 ・・・ 価格転嫁

・鉱物資源(商社、海運など)、プラント・機械メーカー ・・・ 資源開発

・半導体、金融、防衛 ・・・ 独自需要拡大