AI時代、会社員は「給与」という単一収入で生き残れるのか

生成AIをはじめとするテクノロジーの急速な進化は、私たちの働き方やキャリアの前提を根底から覆しつつある。

かつて、会社員として組織に属し、真面目に業務をこなしていれば、年功序列や定期昇給によって右肩上がりの給与が約束される時代があった。

しかし、現在進行形のAI革命は、これまで「知的労働」とされてきたホワイトカラーの業務すらも代替・効率化の対象とし、労働市場におけるスキルの価値を激変させている。

この変化は、会社員にとって「人的資本(自身の労働力)から得られるリターン=給与」の不確実性がかつてなく高まっていることを意味する。

AIを使いこなせない人材は給与が上がらず、効率的に働き続けない限り収入は増えないという問題に直面しているのだ。

さらにマクロ経済に目を向ければ、世界的なインフレ圧力により、名目賃金が増えても購買力が追いつかない、実質賃金の目減りも重くのしかかっている。

加えて、病気やケガで働けなくなるリスクや、会社の突然の倒産、リストラといった事態も決して他人事ではない。

もし給与収入しか持っていなければ、こうした不測の事態に陥った途端、収入源が完全に絶たれてしまう。

このような時代において、果たして会社員は「給与」という単一のフロー収入だけで生き残れるのだろうか。

いつ働けなくなっても生活を維持できるよう、給与以外の「第二の収入源」を持つことが急務となっている。

本レポートでは、この問いに対する答えを探るべく、国際通貨基金(IMF)および経済協力開発機構(OECD)が発行した最新のレポートとデータに基づき、現代の労働市場と資産形成の現在地を分析する。

そして、人的資本の不確実性を直視した上で、資本市場の成長を取り込む「資産運用」が、単なる老後への備えを超えて、現役世代を支える「第二の収入源」としていかに不可欠なものとなっているかを論じ、金融資本の重要性を考えてみたい。