「名目成長」によって企業行動にも変化
物価が上昇して名目値で経済が大きくなったことは、企業行動にも良い影響を及ぼしています。
デフレ時代はコストをなかなか価格転嫁できないので、付加価値の高い新商品の開発への意欲が鈍ります。価格が引上げられない分、企業利益を左右するのはコスト削減となり、投資は「余計なこと」といった風潮が強まりました。
物価が上昇して、価格転嫁が可能な世の中になったことで、賃上げや投資にお金をより使うという前向きな企業行動が出始めています。これこそが今後の成長のカギを握る動きです。
実質賃金プラス化は定着するか
しかし、問題は物価高に賃金が追いついていないことです。
毎月勤労統計によると、消費者物価分を差し引いた勤労者の実質賃金は、昨年末まで、4回の例外を除き、一貫してマイナスでした。消費者物価の上昇が鈍った26年1月に前年同月比で0.7%、2月に1.9%と、久々にプラスに転じました。
ただ、いずれもエネルギー関連の政策効果の影響が大きく、補助期間の終了や今後のイラン情勢次第では、実質賃金がいつマイナスに転落してもおかしくない情勢です。実質賃金のプラス化が定着しなければ、消費者の懐具合は改善せず、消費拡大の力も強まらないでしょう。そもそも日本の実質賃金は、長期低落傾向が続いていているのです。