まずは「名目成長」がきっかけに

さて、問題はこれから、です。

確かに物価が上昇しない、すなわち名目経済が大きくならないというデフレの世界が、良くなかったことは明白です。だからこそ、まずは名目成長できる世界をめざし、物価上昇2%を目標にしてきました。

その物価上昇率が、単月で2%を下回るという状況になった今、何が必要なのでしょうか。

再び物価上昇に遮二無二アクセルを踏むことが適当なのか、それとも、2%目標は掲げつつも、もう少しモデレートで、持続可能な物価上昇を目指すべきなのか、考えるべき時だと思うのです。

「名目」に「実質」が伴う成長へ

2025年のGDPも、名目では4.5%増ですが、実質では1.1%増にとどまりました。日本経済の実力からすると実質1%は上出来です。これをどうやって持続し、底上げするかが一番の課題でしょう。実質賃金の上昇を通じた消費拡大は、その核のはずです。

高市政権が、新たな成長に向けて、戦略的な投資に積極的に取り組むことは、こうした実質成長に向けた意義ある取り組みです。マクロ経済政策でも同様にきめ細かな運営を心掛けてはどうでしょうか。

実質でいうと、実質金利は未だに深いマイナスです。政策金利が0.75%でも、2.7%の物価上昇率なら、実質金利は2%近いマイナスです。日本が突出した実質マイナス金利で、物価高を加速させた過度な円安が是正されることなどないでしょう。

経済運営の重心を、事態打開のための「名目」の改善から、「実質」を伴う改善に、そろそろ移していくべき時なのではないでしょうか。