おわりに
本稿では、令和の米騒動を契機とした輸入米の位置づけの変化と、それが国産米の価格形成に与える影響について整理した。
足元では需給の緩和により価格は落ち着きつつあるものの、民間輸入米の存在は、従来とは異なる形で市場に定着しつつある。
これまで輸入米は制度上の制約から価格競争の主体とはなりにくかったが、市場で価格が可視化された輸入米が登場したことで、国産米と比較可能な選択肢としての性格を強めている。
特に外食・中食分野を中心に、用途によっては輸入米への代替が現実的な選択肢となりつつある点は、これまでの米市場には見られなかった変化である。
もっとも、輸入米が直ちに国産米を代替するわけではなく、消費者の国産志向や品質評価といった要因も踏まえれば、その影響は用途ごとに異なる形で現れると考えられる。
その意味で、輸入米は国産米の「価格の天井」として一律に機能するものではない。しかし、国産米が輸入米に対して相対的に高価格である状況が長期間継続し、その価格差が拡大する局面においては、輸入米の価格が国産米の価格上昇を抑制する要因として作用し得る。
(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 総合政策研究部 准主任研究員 小前田 大介)
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