国内産米の価格推移・輸入米の現状
1.国産米の価格と在庫の状況
2026年2月以降、国内の店頭における米価格は下落を続けている。
農林水産省の公表するPOS(全国約1,000店)データでは精米5kg当たり税込の平均価格が2026年3月9~15日に3,980円(3月16~22日は3,978円)と備蓄米が出回った2025年8月25~31日以来、約半年ぶりに3,000円台になった。
また民間在庫は2026年2月末に300万玄米トン(前年差+95万玄米トン)へ積み上がり、同じ2月末時点としては4年ぶりの高水準となった。
2.輸入制度上、これまで輸入米が価格競争しにくかった理由
日本は、長年にわたり一定量の米を海外から輸入してきたが、これまで輸入米は国産米と価格競争する存在にはなりにくかった。
しかし、2025年に入ってこの状況が一転し、民間事業者による輸入米が増加したことで、「市場で価格が明示される輸入米」が現れ始めている。
その背景には、日本の輸入制度の特徴がある。日本が輸入してきた米の中心は、世界貿易機関(WTO)協定などに基づく「ミニマム・アクセス(以下MA)米」である。
これは、日本が市場開放の一環として、毎年一定量の米を輸入することを義務づけられている制度であり、政府が輸入主体となる。
またMA米の一部には、国家貿易の枠内で輸入業者と国内実需者との実質的な直接取引を認めるSBS(売買同時契約)輸入があり、数量は「77万玄米トンのうち最大10万実トン」と定められている。
MA米は主として加工用や飼料用として利用されており、一部のSBSでの輸入米を除けば、家庭用の主食として店頭に並び、市場で価格が明示される形で流通することはほとんどなかった。
重要なのは、MA米は「輸入米」であっても、一部のSBS輸入米を除き市場で自由に価格が形成される商品ではなく、国産米と価格競争を行う存在ではなかったことである。
加えて、MAの枠外で米を輸入する場合、1kg当たり341円の関税が課されるため価格競争力を持ちにくかった。こうした制度が、平常時における自由輸入を難しくしてきた理由である。