(ブルームバーグ):航空各社はジェット燃料価格急騰への対応で、減便や運航停止を拡大しており、乗客にとっては向こう数カ月にわたり不便を強いられそうだ。
KLMオランダ航空は16日、アムステルダムのスキポール空港で来月、80往復便を取りやめると発表した。ユナイテッド航空、ルフトハンザ、キャセイパシフィック航空も同様に、影響を抑えるため運航計画を縮小している。
調査会社シリウムのデータによると、主要航空会社20社のうち1社を除く全てが減便に踏み切るなど、5月の世界の輸送能力は約3ポイント減少した。同社は当初見込んでいた年間4-6%の拡大予想を見直し、条件次第では最大3%の減少もあり得るとしている。
シリウムのシニアコンサルタント、リチャード・エバンス氏は16日付のリポートで、「さらなる減便が実施される可能性は極めて高い」と指摘した。

イラン戦争に伴う航空業界の混乱は当初、中東の航空会社や空港、空域に限定されていた。だが、その後は世界的に余波が広がっており、収益性の高い夏の旅行シーズンが損なわれる恐れがある。
さらに、海上輸送の要衝であるホルムズ海峡ではエネルギー輸送が滞っており、事態の早期収束は見通せない。
デルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は、今四半期の燃料費が25億ドル(約3970億円)押し上げられると明らかにした。その上で「採算ラインぎりぎり、あるいは期待通りの収益を上げられていない運航便については、見直されることになるだろう」と説明。「これは業界にとって試練となる」と述べた。
ジェット燃料在庫枯渇の不安も
さらに事態を深刻化させているのが、ジェット燃料の供給不足への懸念だ。国際エネルギー機関(IEA)は、欧州の在庫は「せいぜい6週間」分にとどまる可能性があるとしており、ライアンエアー、ヴァージン・アトランティック航空、イージージェットも、供給見通しを5月中旬までしか示していない。
欧州連合(EU)は、ジェット燃料について「近い将来」に供給問題に直面する恐れがあると指摘。EU報道官は17日、ホルムズ海峡の封鎖が長引く場合に備え、共同対応計画の策定を進めていると明らかにした。
航空各社による運航計画の縮小は、イラン戦争が事業に悪影響を及ぼすとの見方から、自己防衛的な対応に入っていることを示している。仮に戦闘が早期に終結しても、損傷したインフラの復旧には数カ月から数年を要する可能性が高い。
欧州航空会社の多くは、少なくとも今後数カ月については燃料価格のヘッジを行っている。一方、世界最大規模の輸送力を持つ米国の航空会社はヘッジを行っていない企業が多く、結果として最も大きな燃料コスト負担に直面している。
ユナイテッド航空は今年の輸送能力を5%削減するなど、業界内でも早期に減便に踏み切った。削減は9月まで及ぶ見通しだ。デルタ航空は燃料費の増加に対応するため運賃引き上げを進めるとともに、約3.5%の輸送能力削減を実施している。
ブルームバーグ・ニュースが中国のデータ提供会社DASTのデータを分析したところ、燃料価格のヘッジを行っていない中国本土の航空各社も、日々の欠航便を増やしている。
原題:The Jet-Fuel Surge Is Making Global Flight Connections Disappear(抜粋)
--取材協力:Siddharth Philip、Julia Zhong.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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