(ブルームバーグ):全米の質店経営者によると、ここ1カ月ほどで質入れによる資金需要が増えている。ガソリン価格の上昇が一部消費者にどれほど大きな負担となっているかを示す兆候だ。
カリフォルニア州ストックトンで代々続く質店のキャシディーズ・ジュエリー&ローンを営むティム・キャシディ氏は、「質入れの件数は大幅に増えている。人々は仕事に行くためにガソリンを入れなくてはならないからだ」と語った。
一般に低所得世帯は富裕層に比べ、収入に占める燃料費の負担が大きく、ガソリン価格上昇の影響を受けやすい。全米のガソリン平均価格はイラン戦争前には1ガロン当たり2.984ドルだったが、4月8日時点で4.166ドルへと急騰している。
10日に発表された3月消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%上昇と、2024年以来の高い伸びとなった。イラン戦争の影響でガソリン価格が急騰したことが背景にある。
質店の現場では、中間所得層以上にも負担の広がりが及んでいる様子がうかがえる。
カリフォルニア州サンタローザの質店アビーズ・ポーン・アンド・コインの共同創業者アビゲイル・ミエルカレク氏は、「高級腕時計の持ち込みがやや増えている」と話す。「比較的余裕のある人たちも、物価上昇の影響を感じている」という。
質店の動向は、消費者の負担の強まりを示す先行的な指標となり得る。公式統計では所得階層ごとの実態が見えにくく、公表にも時間差があるためだ。
質店は、金のネックレスやギター、工具一式といった品物を担保として預かる代わりに、短期の資金を提供する。金利は州によって異なり、月利で平均3-25%程度に及ぶ。年率換算では300%に達する場合もある。
キャシディ氏の質店は4世代続く老舗だ。82歳の同氏は、ガソリン価格の上昇が消費者にとって打撃となる一方で、自身の業界には追い風となる局面をこれまでも繰り返し見てきた。
質業界は「景気とは逆に動く」と語るのは、カナコード・ジェニュイティのアナリスト、ブライアン・C・マクナマラ氏だ。上場する質店大手イージーコープとファーストキャッシュ・ホールディングスをカバーする同氏は「質店の業績が好調であれば、経済のどこかに不調がある可能性が高い」と語る。
マクナマラ氏が両社の47店舗を対象に実施した四半期調査によると、1-3月(第1四半期)は前年同期に比べて約25%の店舗で来客が増加した。一方、減少したのは12%にとどまった。同氏は今週に入り、ファーストキャッシュの目標株価を240ドルから242ドルに、イージーコープは34ドルから40ドルにそれぞれ引き上げた。
質店の利用者の多くは、銀行から少額の資金を借りることが難しい層だ。金融機関の口座を持っていない場合もある。
こうした人たちにとって「家計の余裕はほとんどない」と、テキサス州で質店19店舗を運営するステイシー・バネガス・バスケス氏は語る。同氏によると、一部の顧客は返済期限の延長を求め始めており、長年の利用者の中にも返済不能に陥る例が出ている。
取材に応じた多くの質店経営者は、今のところ債務不履行の大幅な増加は見られないと指摘する。
ただ、ワシントン州レイクウッドで質店を共同経営するジャネル・モアハート・リービー氏によれば、「給料日まで少しだけ資金が必要だ」という声は以前より増えているという。
カナコード・ジェニュイティのマクナマラ氏は、イラン戦争前には、今年の税還付が低所得層の生活を下支えすると見込まれていたと指摘。「しかし、そうはならなかった。ガソリン価格の上昇が、人々に直接的な打撃を与えている」と語った。
原題:Pawn Shop Loans Spike as High Gas Prices Weigh on Americans (1)(抜粋)
--取材協力:Jonathan Roeder.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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